フェイスブックなどの交流サイト(SNS)で著名人になりすました偽投資広告詐欺に遭ったのは、内容が真実かどうかの調査を怠ったためだとして、首都圏や関西地方などに住む計30の個人と法人が29日、米IT大手メタ(旧フェイスブック)本社と日本法人に計約4億3500万円の損害賠償を求め、横浜や大阪、神戸、さいたま、千葉の全国5地裁に一斉提訴した。
弁護団によると、横浜地裁には神奈川県内在住で40~60代の男女3人と県内企業1社が計約3千万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
訴状によると、県内の原告らは昨年8~9月ごろ、フェイスブックやインスタグラムで、楽天グループの三木谷浩史氏ら著名人をかたるなどした虚偽広告を閲覧。LINEに誘導されてうその投資話を持ちかけられ、現金を指定口座に振り込むなどした。
原告側は、虚偽広告をSNSに掲載すれば利用者に不測の損害を及ぼす恐れがあることをメタ社側が予見でき、内容の真実性を調べて確認し、広告を掲載しない義務があったのに怠ったと主張。「虚偽広告を放置し、広告料収入も得て、詐欺被害を引き起こした」と指摘している。
横浜地裁に提訴した弁護団の城田孝子弁護士は会見で「同じような被害者を生まないためにも、広告基準を見直してほしい。メタ社に限らずオンラインプラットフォームを展開する会社の広告審査基準が見直され、健全になるのが何よりだ」などと述べた。
メタ社への偽投資広告詐欺の損害賠償を巡っては、神戸地裁でも先行訴訟が係争中で、今回は第2次提訴となる。今後、原告は全国でさらに増える見通しだ。