2戦連続のスコアレスドローに終わった30日の浦和戦後、J1横浜MのMF水沼宏太(34)は、鬼気迫る表情浮かべた。「自分たちは一歩間違えれば大変なことになるくらいのところにいる」。現状13位。無冠が決まったとはいえ、気を緩められない位置にいる。
前半からFWヤンマテウス、MF井上がサイドから突破口を模索した。水沼の出番は後半20分。クロッサーの真骨頂も示した。だが、実らない。「数多くチャンスをつくって仕留め切れなかった。個人的にもいつもより長く出たのに結果を残せず悔しさが残る」。声色には無念さがにじんだ。
天皇杯準決勝の苦杯から中2日。今季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の準優勝に始まり、ルヴァン杯でも準決勝で敗退。頂点に迫ったからこそ落胆は色濃い。「何も取れなかった情けなさは間違いなくあるし、自分自身もそのピッチに長く立てない情けなさ、悔しさがある」。チームのためにプレーしたい。自分ならできる―。感情のコントロールは難しかったと明かす。
根底にあるプロ意識は揺らいでいない。「お金を払って試合に来てくれる人たちにどれだけのものを見せられるか、提供できるかというのは突き詰めてやっていかないといけない」。歯を食いしばり、前を向く。
DF小池龍やFW西村との連係に手応えもあった。ここ最近続いていた最終盤の失点を食い止められたこともポジティブな要素だ。ベテランは「勝ち点1を積み上げられたことを前向きに取られてやっていくしかない。チームの一人として、もっともっとやらなきゃいけない」と、己に言い聞かせた。