恐竜の着ぐるみを着て全力疾走するイベント「ティラノサウルスレース」が神奈川県内で広まっている。米国で始まり、交流サイト(SNS)を通じて人気が高まっているといい、日常生活でも着ぐるみ姿で過ごす「ティラ活」を始めるファンも。日本ティラノサウルス競技連盟は「人間であることを忘れて恐竜になりきれるのが面白い」と魅力を語り、さらなる普及を目指している。
同連盟によると、レースは2016年に米国の害虫駆除会社が社員の結束を強めるために開催したのが始まり。大きな頭に短い手足の着ぐるみがユーモラスに走る姿が話題を呼んだ。日本では22年に鳥取県で初開催され、各地に広まった。県内では横浜や川崎、横須賀などで開催されている。
当初は着ぐるみの違いによって走りやすさに差が生まれ、参加者から不満の声が上がった。そこで、都内在住の男性(45)が今年2月に「寺野創流須(てらのそうるす)」という名前で同連盟を設立。統一ルールを設けたことで、宮崎県を除く46都道府県の約250カ所でレースが開催されるなど急速に広まり、参加者は40~50代の女性が多いという。
連盟代表の男性は「素顔をさらして全力で走ることが恥ずかしいと感じる女性も多い。恐竜の皮をかぶれば恥ずかしさが軽減され、思う存分走れるのが人気の理由ではないか」と話す。
恐竜の着ぐるみ姿で外食や旅行を楽しむ「ティラ活」も人気で、動画や画像がSNSで反響を呼んでいる。普及に協力する店舗を公認店舗とし、横浜市西区の飲食店など県内外の7店舗では着ぐるみの客を対象にイベントも開催している。
「需要の高さに驚いている。人間社会から離れたい人がこれほど多いとは」と冗談を交えながら話す連盟代表の男性は、確かな手応えを感じている様子。競技人口の増加を当面の目標に掲げ、「認知度を高め、地域を盛り上げたい」と意気込んでいる。
県内のレースは10日に等々力緑地多目的広場(川崎市中原区)、16日に県立保土ケ谷公園(横浜市保土ケ谷区)、来年1月19日に長井海の手公園ソレイユの丘(横須賀市)で開催予定。参加者は着ぐるみを購入するかレンタルし、中学生以上は「成獣」、小学生以下は「幼獣」の各部門に分かれて競う。公認レースの日程や申し込み方法は同連盟ホームページ、一般レースはウェブサイト「全国ティラノサウルスレース日程告知応援」で確認できる。