飲食店で使い終わったスチール製のカップを回収し、鉄粉をセメントのブロック片に混ぜて海中に置くことで磯焼けした藻場の再生につなげる「鉄ブンプロジェクト」が鎌倉市内で始まった。海中に溶け出す鉄成分は海藻の光合成に不可欠な栄養素で、鉄分不足が藻場消失の要因の一つとも考えられており、市内企業などが使い捨てカップの代替品としてオリジナルのスチールカップを販売。今後、海藻生育の実証実験も始め、リサイクルと藻場再生の“一石二鳥”を模索する。
プロジェクトはいずれもコンサルティング会社のIBLC(東京都)とnalu(ナルー、鎌倉市)が協働でスタート。使い捨てのプラスチック製品をなくそうと、2020年からスチールカップの試作品制作やイベントで試験的に使用してきた。23年には市内のカフェ12店舗でテイクアウト用の容器として使い、飲み終わった後は客に店まで持ってきてもらって回収する実験も展開した。
試行錯誤を重ねて今年完成したオリジナルカップは、容量475ミリリットルで江の島や湘南の海をイメージしたデザイン。約2千個を1個500円(税込み)で10月から販売を開始した。市内の十数店舗でテイクアウト飲料の容器として代金を上乗せするなどして販売している。