帝国データバンク(TDB)横浜支店が神奈川県内の企業に採用時の最低時給を尋ねたところ、平均は1277円で、最低賃金(1162円)より115円高かった。高賃金は消費喚起につながる一方、「年収の壁」対策の働き控えを助長し、人手不足がさらに深刻化する懸念が企業から寄せられている。
東京都(1340円)に次ぎ、全国で2番目に高かった。業界別で県平均を上回ったのは不動産(1380円)、サービス(1333円)、卸売(1317円)、建設(1300円)だった。
賃金改善は従業員の物価高対策である半面、企業側は人件費の上昇で収益が圧迫されている。TDBは「企業は人手不足で労働力を確保するため、賃金を引き上げざるを得ない」とみている。
政府は2020年代に最低賃金を全国平均1500円に引き上げる方針。「体力のない中小企業は人員カットを検討せざるを得ない」(建材加工業)、「上げ幅が急で企業側への支援策がない」(不動産業)といった困惑も目立つ。
TDBは従業員の雇用形態を問わず、採用時の最も低い時給を集計。9月に県内1284社に調査し、556社が回答した。