世界で9千人の人員削減などのリストラ策を発表した日産自動車(横浜市西区)。主力市場の北米や中国での販売苦戦が響き、厳しい経営環境に追い込まれている。今後の雇用継続を心配する従業員や経営陣の計画の甘さを指摘する声も多い。
同社追浜工場(横須賀市)近くにあるコンビニエンスストア。作業着に「NISSAN」と記された休憩中の男性従業員が打ち明ける。「(削減)対象になるのではないかと不安を感じている。物価が高騰し、生活は厳しい状況が続いている。長年働いているので、契約が切られたら困る」
米国では数百人が今年12月末に早期退職する見通し。タイでも従業員約千人を対象に、人員削減や配置転換する方針が明らかになった。
同社が11月7日に発表した2024年9月中間連結決算は純利益が前年同期比93.5%減の192億円と大幅に減少。特に北米市場の営業利益は2414億円からマイナス41億円へと赤字転落した。同市場で新車導入が遅れ、ハイブリッド(HV)需要が高まる中、HVを持たない日産は苦戦を強いられている。
同日のオンライン会見で、内田誠社長は「ニーズに応える商品をタイムリーに提供できていない」と述べた。
自動車動向に詳しい佃モビリティ総研の佃義夫代表は「開発とマーケティングがかみ合っていない。収益力に弱さが見える」とし、「今年は北米市場に新車が導入できていない中、立て直しは難しいと考えている」と厳しい見方を示す。