26年ぶり3度目の日本一を成し遂げたプロ野球横浜DeNAベイスターズの南場智子オーナー(62)が神奈川新聞社のインタビューに応じ、「チームが束になり、ポテンシャルが発揮された。本当に感動的だった」と振り返った。2015年にオーナー就任後、チーム強化や経営の黒字化、地域に根差した取り組みを推進し、人気と強さを兼ね備えた球団に育ててきた。多くのファンと喜びを分かち合う今月30日のパレードを前に、「横浜や神奈川、全国のファンの方々に育てられた」と感謝する南場オーナーの思いを聞いた。
本拠地横浜スタジアムで1998年以来の日本シリーズ制覇を達成した今月3日の試合直後。南場オーナーは選手らとグラウンドを一周しながら、スタンドに向かって笑顔で何度も頭を下げた。球場に隣接する横浜公園を埋め尽くしたファンにあいさつする光景も交流サイト(SNS)で拡散された。
「スタジアムでお礼を言えたのはすごくうれしかった。感謝の気持ちに包まれるって幸せだなと。(球場外にも)あんなにいっぱい(ファンが)いて、びっくり。みんな(球場に)入っていいよって言いたくなっちゃった」と打ち明けた。
ファンから「金は出すが口は出さない」などと称される南場オーナーだが、今年1月には首脳陣に対し、初めてリーグ優勝を要求したといい、三浦大輔監督(50)とは毎月、チームについて話し合う場を設けてきた。リーグ3位が決まった時は「失意の中にいた」というものの、決して諦めない指揮官とナインの奮闘から大きな学びを得たという。
クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズは全試合を球場で観戦。躍動したナインを「若くて荒削り。可能性をすごく秘めているし、勝ち切れないところもあったが、私はずっと世界一のチームだと思っていた」とたたえる。
IT大手ディー・エヌ・エーが球団を保有したのは2011年11月。4年連続最下位と低迷していたチームをすぐに立て直すことは難しかったが、ファン目線の企画などを次々と打ち出し、今季の観客動員数は過去最多の約235万8千人を記録。12年シーズンから2倍まで増やした。
日本一の余韻に浸りながらも、チームは来季の頂点を見据えている。南場オーナーは「(CS、日本シリーズの)3週間の喜び、輝きは本物」と語りつつ、「それをさらに輝かせるためにもやっぱり、リーグ優勝。皆さんがどんなに喜んでくださるかと思うと、もう絶対にお届けしたい」と強い覚悟をにじませる。