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「落ち込んでもラーメン食べれば元気に」石破首相、若き日を思い出して 【政治コラム:国会点描 かながわの風】

カナロコ by 神奈川新聞 2024年12月2日 5時0分

 40年近く神奈川政界を取材している名物記者がつづるコラム。政治家や周辺関係者らの素顔や回顧録、政界裏話など、独自の視点で伝えます。

 ■「謙虚で一生懸命」な新人行員

 半世紀以上も前だが筆者の幼稚園の同じクラスにチャコちゃんという愛称の女の子がいた。母親同士が仲良くなり、卒園してからもクラスの友人と自宅へ遊びに行き、休日には銀行員のお父さんがマージャンなどを教えてくれた。

 中学生の頃だったと思う。支店長に昇格したお父さんが「知事をやった国会議員の息子さんを新人行員として店で預かっている」と切り出した。「威張ってるんですか?」と問うと「謙虚で一生懸命だよ。お札を数えるとかで苦労して落ち込むこともあるが、ラーメン好きで食わせれば元気を復活する」という。

 お母さんの目が光る。「家に遊びに来てもらっては?」。チャコちゃんには年頃のお姉さんがいて引き合わせたかったようだ。「いや、彼には片思いの彼女がいるようなんだ」とお父さん。「片思いなら彼女じゃないでしょ」とのお母さんの反論に、なぜかとっさに「いやぁロマンですね」と割って入り、話の腰を折ってしまった。後でお父さんから「彼にとってはナイスな援護射撃だ。二人がうまくいったら彼にラーメンをおごらせるから」とほめられた。

 鋭い方ならお気付きだろうが「彼」こそが石破茂首相である。おそらく「片思いの彼女」は大学の同級生だった今の奥さんなのだろう。つくづく世の中は狭いものである。

 こうした話を持ち出したのは、首相があいさつや食事の仕方などでほうぼうからたたかれ放題だから。落ち込んでいるようにも感じてしまう。ここは銀行員になった頃を思い出し、気持ちを奮い立たせてもらいたい。ラーメンをエネルギーとして補充しよう。ちなみに「ラーメンをおごる」とのお父さんの口約束はうやむやとなってしまったので念のため。そんな話はさておき、国民との約束を守ることを最優先に苦労を重ねてほしいものだ。
(特別編集委員・有吉 敏)

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