社交飲食店や男娼(だんしょう)などによる客引き行為の規制強化に向け、神奈川県迷惑行為防止条例改正案が19日の県議会本会議で全会一致で可決された。歓楽街の治安向上につなげるのが狙いで、来年5月の施行を予定している。
現行条例は社交飲食店や深夜営業マッサージなどによる客待ちや、不特定の通行人に声をかける誘引行為に関して罰則を設けていないが、条例を改正してこれらの行為に対して中止命令を行えるようにし、従わない場合は罰則対象とする。
県警によると、横浜市中区の福富町では、酔客が社交飲食店の従業員らにコンビニなどのATMへ連れていかれ、多額の現金を支払わされる事案が多発。昨年の伊勢佐木署管内での認知件数は280件、被害総額は約1億6400万円に上っており、条例改正で客がこうした悪質な店舗に誘い込まれないよう客引き行為の規制強化を図る。
居酒屋やカラオケ店などの客引き、誘引、客待ち行為については、罰則は設けないものの新たに規制し、注意できるようにした。
さらに、男娼と男性客との性行為を想定した「売春類似行為」に関しても、性別にかかわらず客引きや客待ちを禁止した。近年は女性に性別を変更した男娼が客引き行為を行うなど、簡単には性別が分からないケースが増え、現行条例や売春防止法などでの取り締まりが難しくなっていることから、条例改正で対応を図る。