コロナ禍後の企業倒産の増勢とともに、詐欺や粉飾といった「コンプライアンス違反倒産」が盛り返している。2024年は11月までに20件に達し、前年比で倍増した23年の25件に迫る勢いだ。経営者のモラル低下も一因のようだ。
ランボルギーニ、フェラーリ、ロールスロイス─。相模原市内の倉庫に並んでいた高級車だ。所有していたのは、物流会社「TRAIL(トレイル)」の代表取締役(51)。楽天モバイルの携帯電話基地局整備事業で発注元と共謀し、98億円をだまし取った詐欺罪で1月に懲役刑を受けた。利得の一部は高級車の購入にも充てられていた。
同社は2023年3月に破産。負債額は39億4300万円で、県内の道路貨物運送業者で過去最大だった。代表は東京地裁の公判で「被害弁済に努める」と謝罪している。
帝国データバンク(TDB)はこうした詐欺を含め、法令違反や不正によるコンプラ違反倒産(負債1千万円以上の法的整理)を集計している。横浜支店によると、23年の県内は25件で、前年から倍増した。