「日本三薬師」の一つに数えられる日向薬師(神奈川県伊勢原市日向)で8日、今年1年の無病息災や家内安全を祈願する「初薬師」が行われた。国指定重要文化財の本尊・薬師三尊像が開帳される日とあって、多くの参詣客が訪れ、静かに手を合わせていた。
日向薬師は716年に僧の行基が開基し、鎌倉時代には源頼朝や妻の北条政子が参詣したとされる。本尊の薬師三尊像は10世紀末から11世紀初頭にかけて制作され、同薬師最古の仏像とされる。
開帳はこの日の初薬師に加え、正月三が日と春季例大祭(4月15日)の年5日のみ。秦野市の飯田浩二さん(56)は「年に4、5回お参りに来ているおかげか、体に不調はない。暗いニュースが多いので、周囲も含めて平和になるように」と願いを込めた。
境内では市内産の野菜や餅などを使った「薬師粥(かゆ)」も振る舞われた。内藤京介住職(45)は「かゆを食べて健康でいい1年を過ごしてほしい」と話していた。