平塚市内の認可保育園で2017年、当時1歳の女児に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた元保育士の女性の被告(49)=伊勢原市=の裁判員裁判の判決公判で、横浜地裁(奥山豪裁判長)は16日、「女児の死因を確定することはできず、被告を有罪とする根拠はない」などとして、無罪(求刑懲役10年)を言い渡した。(報道部)
これまでの公判で、被告は「寝かしつけはしていたが、けがはさせていない」と無罪を主張していた。
判決では、計6人の医師ら専門家証人の証言などを検討。その上で、女児に線状骨折などの頭蓋骨骨折や比較的軽度のくも膜下出血などは認められるが、これらは死因とはいえず、受傷時期を特定できる証拠も見当たらないと指摘した。
さらに、くも膜下の出血部位にマクロファージという細胞が確認できることから「けがは死亡の12時間以上前に生じた可能性が否定できない」と判断。被告と一時保育室内にいた時間帯に女児がけがをしたとも確定できないとし、「被告を犯人として有罪とする根拠はなく、無罪を言い渡すほかない」と結論付けた。