県タクシー協会の賀詞交歓会が17日、横浜市内のホテルで開かれた。
一般ドライバーが有料で客を運ぶライドシェアを巡り、タクシー関連の従業員や家族の生活を守るとして「公共交通を破壊するライドシェア新法は不要」と大書した垂れ幕を掲示。タクシー事業者以外が参入する全面解禁の動きを強くけん制する雰囲気が会場を覆った。
同協会の伊藤宏会長は「昨年の衆院選で与党が過半数割れし、現時点で(全面解禁に向けた新法の)議論は落ち着いている」と指摘。「こうした時期にこそ、全面解禁阻止に向けて足元を固めなくてはならない」と述べた。乗務員不足は解消に向かいつつあるとの認識を示し「今年も業界が一致団結し、安全・安心で良質な移送サービスの提供に努める」とした。
夜間の移動手段が乏しい三浦市で、最終的にはタクシー会社が実施主体となる「神奈川版ライドシェア」の導入に向け、実証実験などを主導してきた黒岩祐治知事は「昨年もそうだったが、賀詞交歓会でこうした垂れ幕はなかなか見ない」と苦笑い。「高齢社会が進む中で地域の足となる移動手段をどう守っていくかは大きな課題」とし、神奈川版ライドシェアの本格実施に向け、引き続きタクシー事業者と協調して取り組む考えを示した。