漁港がなかった神奈川県鎌倉市東部で市は2025年度から、同市坂ノ下地区に新たな漁港建設の工事に着手する。同市東部では砂浜から漁船を出して漁に出ており、漁港整備は地元漁師が約70年前から求めていた悲願だった。財政問題や環境への影響などから「必要最低限の機能」(同市)だけを備えた小規模の「漁業支援施設」という位置付けで2031年度中の完成を目指している。
漁業支援施設は市が管理する第1種漁港で、鎌倉海浜公園坂ノ下地区に隣接する海側に約6千平方メートルを埋め立てて整備する。現在の消波ブロックを135メートルの防波堤に改良し、船を斜面から陸上に引き揚げる船揚場や漁具倉庫などを整備する。一方で船が接岸する護岸や魚を陸揚げする荷さばき場などは設けない。
総事業費は計約54億円で、市は防波堤整備の継続費約15億円を昨年12月の一般会計補正予算に盛り込んだ。今年7月に防波堤設置を着工し、埋め立て工事や漁具倉庫整備など32年2月の完成を見込む。