宮ケ瀬湖の湖岸斜面(のり面)に崩れがないか、立ち入り禁止エリアに人がいないかなど、人がボートに乗ってチェックしている作業を無人の自動航行ボートで代行しようと、宮ケ瀬ダムを管理する相模川水系広域ダム管理事務所(相模原市緑区)と民間企業が技術開発に取り組んでいる。これまで2社が開発した自動航行ボートによる実証実験を行い、のり面の動画撮影に成功したものの、流木に進路を遮られた際の対応が大きな課題として浮上。さらに模索を続けている。
同事務所によると、宮ケ瀬湖の湖面は広さ約4.6平方キロメートル。横浜・みなとみらい21(MM21)地区の2倍以上に当たり、複数の沢沿いに入り組んで広がる湖岸の距離は水位や測り方によるが、30~40キロ程度もあるとみられる。現在は民間企業の従業員2人が午前2時間、午後2時間、ボートに乗って湖岸を監視する作業を週3回続けている。
平常時の省力化とともに、災害時にダム本体の点検などに人員が取られた場合、湖岸の監視に人手を割くのが難しいと予測されることから、同事務所が無人ボートによる点検技術の開発に取り組むことになった。
国交省関東地方整備局が民間技術を活用するために2018年度から行っている「現場ニーズと技術シーズのマッチング」で、同事務所が23年度に提案。「風速10メートル未満で衛星利用測位システム(GPS)などで自律航行でき、ダム湖周辺施設やのり面の映像を記録できる」という必須条件と「リアルタイムに崩落や一般市民の立ち入りなど現場状況を確認できる」など望ましい条件を出したところ、測量や建設コンサルタント関連の2社が応じた。