川崎市幸区河原町の河原町団地で、すだれやプランターなどを焼き、器物損壊の罪に問われた無職の男の被告(28)の判決公判で、横浜地裁川崎支部(行方美和裁判官)は30日、懲役1年6月(求刑懲役2年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年8月12日、同団地4号棟4階の通路に設置されたすだれに、持っていたライターで火をつけ、同すだれとプランターを焼損させたほか、同23日にも5号棟6階の通路で同様の犯行をした。
被告は公判で「ハローワークなどにも行ったが仕事が見つからなかった。それなのに父親に仕事をするように迫られていらだった」などと述べた。
検察側は「偶然がいくつも重なり、早期の火災発見、消火につながった。火災の発見等が遅れるなど、一歩間違えれば住民らの生命、体、財産等に致命的な打撃を与えかねない危険な犯行である」と指摘。弁護側は「被告人は犯行を認め、反省の弁を口にしている。社会生活の中で、更正を図ることが適切である」と罰金刑を求めていた。
行方裁判官は「一歩間違えればより重大な結果が生じていた可能性がある。器物損壊事案の中でも悪質である」と非難。刑事責任は重く、罰金刑が相当な事案であるとはいえないとした。