横浜市は「旧根岸競馬場一等馬見所」(同市中区)を歴史的建造物に認定した。日本初の洋式競馬場の観覧施設で、国内で現存する最古の馬見所。築100年近くが経過し老朽化が進んでいるが、耐震工事などを施して2029年の開放を目指す。建物の魅力と歴史的価値を生かし、周辺のまちづくりと合わせた活用の検討を進める。
根岸森林公園内にある一等馬見所の完成は1929年。鉄骨鉄筋コンクリート造の地上7階建てで、総床面積は5千平方メートルに上る。三つの塔が特徴で、関東大震災で崩壊した観覧施設に代わって建てられた。古びた容姿が目を引くが、耐震性に課題があることから現在は立ち入り禁止となっている。
旧根岸競馬場は江戸時代の1866年に開設され、国内で初めて恒久的施設で近代競馬が行われた。日本各地の競馬場に影響を与えたが、1943年に76年に及ぶ幕を下ろした。一等馬見所に並んで建っていた二等馬見所は88年に取り壊されたという。
市は馬見所の歴史的価値について、▽外国由来のスポーツ文化を象徴している▽国内に唯一現存する戦前の馬見所で建築史的な価値が高い▽特徴ある外観で景観的価値が高い─と判断。市内104件目の歴史的建造物に認定した。