神奈川県箱根町で所有する高級旅館の改修工事費を水増しし、国の補助金計3億円をだまし取ったなどとして、横浜地検特別刑事部は5日、詐欺の疑いで、不動産会社「ロハス」(同町)社長の男(54)=小田原市=を逮捕した。認否は明らかにしていない。
逮捕容疑は、2022年8月17日ごろ~23年3月17日ごろ、同社が所有する箱根町の旅館「松坂屋本店」「金乃竹塔ノ澤」「金乃竹仙石原」の3カ所の改修工事で、静岡県御殿場市にある建設工事会社による見積額は各1億円程度だったのに、計約6億6千万円に水増しするなどして申請し、補助金をだまし取ったとしている。
補助金は、新型コロナウイルス禍で低下したインバウンド(訪日客)の周遊促進や観光地支援などを目的とした、国の事業の一環。観光庁が実施し、広告大手の博報堂が事業主体を担っていた。
「松坂屋本店」は江戸時代から続く老舗旅館。男は複数の宿泊施設や飲食店などを営み、仙石原温泉旅館ホテル組合長や仙石原観光協会副会長も務めていた。男が経営している温泉旅館の運営会社の関係者は「(逮捕について)報道で初めて知った。事実関係を確認できていないので、確認している。捜査には全面的に協力する方針」とコメントした。