神奈川県は7日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比5.3%増の2兆2158億円で3年ぶりの増加。新型コロナウイルス感染症対策費で膨らんだ22、23年度に次ぐ過去3番目の規模だが、コロナ禍の特殊要因を除けば実質的に過去最大。子ども施策や災害への備え、共生社会の実現などに力点を置く。歳入の柱となる県税収入は過去最高額を見込む。予算案は12日開会の県議会第1回定例会に提出する。
一般、特別、企業会計の総額も3.4%増の4兆6637億円で、23年度に次ぐ規模となり、7年連続で4兆円を超えた。
黒岩祐治知事は7日の会見で「総合計画に掲げた施策を着実に推進するための予算。あらゆる分野でデジタルの力を活用して県民の不安を解消し、安心して暮らせる優しい社会を目指す」と述べた。
一般会計歳入の65.6%を占める県税収入は8.8%増の1兆4534億円を計上。賃上げによる個人所得の増加などで個人県民税が14.0%増の4070億円、好調な企業収益を反映して法人2税(県民税、事業税)も5.4%増の3705億円を見込む。物価上昇などに伴い地方消費税も9.4%増の4668億円とした。
借金に当たる県債の新規発行額は15.6%減の907億円に抑える。地方交付税の不足を補うための臨時財政対策債の発行は、制度が始まった01年度以降で初めてゼロとなった。25年度末の県債残高は2兆6727億円で、4年連続で減少する見通し。
歳出では社会保障費に相当する「介護・医療・児童関係費」や人件費などの義務的経費が約8割を占める。高齢化の進行などで介護・医療・児童関係費は4.2%増の4871億円に膨らむ。人件費は0.7%増の5265億円を見込む。
人口減少が進む中で喫緊の課題となっている子ども・子育て支援に1867億円を配分。災害への備えや治安確保策などに24年度2月補正予算案と合わせ1595億円を計上した。
「当事者目線の障害福祉」をはじめとする共生社会の実現や生活困窮者支援に994億円を充当。30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で半減する中期目標に向け、脱炭素の取り組みに179億円を充てる。
【2025年度当初予算案】
一般会計 2兆2158億円(5.3%増)
特別会計 2兆2833億円(1.6%増)
企業会計 1645億円(2.6%増)
…………………………………………
総計 4兆6637億円(3.4%増)
※カッコ内は2024年度当初比
※1億円未満切り捨てで、合計が一致しない場合がある