鎌倉市は2026年4月入庁の新卒者らを対象とした職員採用試験に「早期チャレンジ枠」を新設し、学力試験を廃止するなど内々定時期を3カ月前倒しする。民間企業の就職活動ルールの廃止や少子化により、“青田買い”など人材の争奪戦が激しさを増していることが背景にある。
市は事務職35人程度の新人採用のうち、チャレンジ枠で10~15人の採用を見込む。チャレンジ枠では今年3月3~24日を募集期間とし、3月下旬の1次試験では書類選考と受験者がビデオを録画して提出する「録画面接」を行い、従来のウェブ上の学力試験は廃止する。
2次試験は4月下旬にウェブ上での面接、3次試験は5月下旬にプレゼンテーション試験と個人面接を行い、5月末に最終合格者を決める。受験者は2次試験までは市役所に行くことなく、インターネット上だけで選考を進める。一方で従来通りの採用試験も残し、6月に1次試験を行い、8月下旬に最終面接を行うスケジュールとなる。
市では21年度に約500人の受験申し込みがあったが、24年度には200人程度まで半減するなど、公務員人気も陰りが出ている。市は「今まで社会貢献を志望動機に公務員を目指す学生も多かったが、今は民間企業も持続可能な開発目標(SDGs)などの社会貢献活動をアピールするようになった」と分析。採用時期を民間企業並みに早めることで優秀な人材の確保を狙う。
県内では藤沢、平塚市などでも採用試験の前倒しの動きが広がる。鎌倉市の担当者は「自ら考えて行動し、仕事に前向きに取り組んでくれる人材に来てほしい」と呼びかけている。