逗子市は12日、2024年度中に着工予定だった同市立久木小学校(同市久木)体育館の改築工事について、道路下に地下水路があることを“失念”したまま設計作業をしていたことが判明したため工事を取りやめると発表した。地下水路上の道路は20トン以上の車両の通行ができないが、委託業者は60トンの重機が乗り入れる想定で設計し、市側も見落としていた。今後は路面の耐荷重調査などを行うが、約5千万円をかけた実施設計をやり直すなど事業が振り出しに戻る可能性もある。
1978年に建てられ老朽化した体育館の建て替えは24年度から3年間で総事業費約15億円で、そのうち約3億円が24年度一般会計当初予算案に盛り込まれていた。同市は2月の市議会に提出する補正予算案でほぼ全額を撤回した。
久木小の南側にはかつて水路が流れていたが、約40年前に水路の上をふさいで市道が整備された。道路法では通行可能の車両総重量は20トンとされ、市は設計の委託業者に車両重量の制限について説明していたが、業者が設計を誤った。
昨年10月の工事業者の入札直前にミスが分かり、市は急きょ入札を取りやめた。市は今後、道路自体の改修や設計のやり直しも検討し、総事業費が膨らむ可能性もある。桐ケ谷覚市長は「埼玉県八潮市の道路陥没の件もあり、安全性を看過できない。市側も業者側もプロとしていかがなものかという思いはある」と話した。