災害により体調を崩して亡くなる「災害関連死」。その教訓を生かそうと遺族が立ち上がりました。熊本地震で娘を亡くした女性が座談会で語ったこととは。
10月18日。兵庫県や新潟県の被災地で被災者支援に携わった弁護士が熊本市に集まりました。開かれたのは「災害関連死」について考える座談会です。
■宮﨑さくらさん
「花梨の経験を通して考えていただくというふうに進めていきたい」
熊本地震で4歳の娘・花梨ちゃんを亡くした宮﨑さくらさん。
(花梨ちゃんの動画)
「退院したらいっしょに遊ぼうね。おもちゃでいっぱい遊ぼうね。バイバイ」
花梨ちゃんは、心臓の病気で入院していた病院で被災。転院を余儀なくされて地震の5日後に亡くなり、災害関連死に認定されました。
娘の死から8年を迎えたこの春。宮﨑さんは新たな一歩を踏み出しました。東日本大震災の被災地で災害関連死の認定にあたった弁護士の在間文康さんやフリーライターの山川徹さんと「災害関連死を考える会」を設立したのです。
今回、初めて臨んだ座談会。宮﨑さんが語ったのは、災害関連死と認定されるためには遺族が自治体に申請しなければならないという手続きのあり方です。
■宮﨑さくらさん
「1番つらかったのは、娘がなぜ死んだのか。どうすれば生きていたかを私たちが書かなきゃいけなかったことです亡くなった当時のことを思い出してそれを認めてもらわないといけない」
災害関連死の取材を続ける山川さんも、制度の課題を指摘しました。
■フリーライター・山川徹さん
「本来、セーフティーネットに引っかかるような存在がうまく引っかかってこないのは、申請しなければいといけないというプロセスを経ているからかなという疑問というか…」
遺族が制度を知らなかったり手続きを負担に感じて諦めたりすることで、埋もれてしまう災害関連死もあると訴えた山川さん。遺族に対し行政が積極的に関わることや、弁護士が相談に乗りやすい体制をつくることが大切だと話しました。遺族の思いを伝えた宮﨑さんは。
■宮﨑さくらさん
「1つひとつ振り返って検証することで、もしかしたら次に亡くなる方を減らせるかもしれないということで、みんなでいろんな立場の方からご意見いただきながら、みんなで考えていければいいなと思っています」
花梨ちゃんの死を教訓に、災害関連死を少しでも減らすため活動を続ける考えです。
この記事の動画はこちらから再生できます