全国的に見ても深刻だと言われる熊本の交通渋滞について徹底取材するシリーズ企画「抜け出せ!渋滞都市」。取材した緒方大樹記者とお伝えします。
(緒方大樹記者)
車で通勤している皆さん、渋滞中、何度も同じ自転車に追い越されるという経験をしたことはありませんか?そこで今回、“ある説”を緒方太郎キャスターと検証しました。
それは「通勤ラッシュ、車より自転車の方が速い説」です。熊本市中央区大江にあるKKTから熊本市役所まで通勤する想定で、車と自転車どちらが早いか検証しました。私が自転車で、緒方太郎キャスターが車で同時に出発し、どちらが早く到着するか検証しました。
(緒方太郎キャスター)
果たして、結果はどうなったのでしょうか?
【VTR】
12月12日(木)の通勤ラッシュまっただ中の午前8時30分。検証したのは、KKTから熊本市役所までの2キロあまりです。車は通称「産業道路」を直進して、電車通りから市役所へ。一方の自転車は500メートルほど同じ産業道路を走った後、車の少ない裏道を通ってゴールを目指します。
検証に使ったのは、熊本市内ではおなじみのシェアサイクル「チャリチャリ」。一体、どちらが早いのでしょうか?いざ、検証スタートです!
■緒方太郎キャスター
「頑張ってね、こっちは車だけど」
■緒方大樹記者
「負けませんよ~」
■緒方太郎キャスター
「もう、余裕の笑みですよ」
今回、車の運転をお願いしたのは、熊本の道を知り尽くしたタクシードライバー・吉田靖行さんです。
■緒方太郎キャスター
「市役所に向かう上でのポイントは?
■吉田靖行さん
「産業道路がどれぐらい混んでいるかですね」
車のルートでゴールまでの信号は12か所。どれだけスムーズに進めるのか⁉
そして、自転車は。
■緒方大樹記者
「すいすい進みますね~」
車を横目に、広い歩道を順調に進みます。
一方、車は出発して5分、産業道路が渋滞しているため、まだ400メートルぐらいしか進んでいません。
■緒方太郎キャスター
「吉田さん、まさにココですね。どんな状況なのでしょうか?」
■吉田靖行さん
「明午橋に行く右折レーンに車がたまってしまって、本来だったらまっすぐいけるんですけど」
朝の時間帯は特に右折する車が多いこの交差点。右折レーンの最後尾から車があふれ、信号が青でも直進できません。
■緒方太郎キャスター
「うわー、これは時間ロスだな~。これは自転車に…やばいですね」
その頃、自転車は産業道路を離れ、裏道へ。川沿いの道路を順調に走ります。
■緒方大樹記者
「産業道路はあんなに車がいたのに、こっちはいない」
渋滞に悩まされることもなく一路、ゴールを目指します。
車は未だに渋滞に苦戦中。
■緒方太郎キャスター
「ナビが真っ赤(渋滞)ですね」
■吉田靖行さん
「特に左車線は、交差点の手前にバス停があったりするので」
出発から約10分、産業道路の九品寺交差点を右折し、電車通りに入りました。渋滞はなく、スムーズに走りだしました。
■緒方太郎キャスター
「スタートしてから自転車を一回も見ていません。どこにいるんでしょうか?」
白川にかかる大甲橋を渡りました。ゴールまで、あと少しです。
■緒方太郎キャスター
「よしよしよしよし!この先の信号が全部青だ!」
渋滞ポイントの水道町交差点を抜けて、ラストスパート!
さあ、車がゴールに到着しました。果たしてどちらが早いのか!?
■緒方太郎キャスター
「お!いない!自転車がいない!勝っちゃった!吉田さん、車の勝ちです!おめでとうございます!
■吉田靖行さん
「あ!いた!」
柱の陰から緒方大樹記者が姿を現しました。実は、車が到着する約4分前…。
■緒方大樹記者
「到着!時間は11分25秒です。快適な通勤でしたね~」
■緒方太郎キャスター
「車が負けちゃったか~。まさかですね。なんか悔しい」
車が約15分半かかったのに対し、自転車は11分半。約4分の差がつきました。
この結果を、渋滞対策に取り組む熊本市の大西一史市長に報告すると。
■熊本市 大西一史市長
「困りましたね、困りましたね。産業道路の渋滞って本当に深刻だなと思います。渋滞都市という汚名を少しでも早く抜け出したい。5年後にだいぶ変わったねと言われるように、今やるべきことをとにかく徹底してやっていきたい」
渋滞都市を抜け出す日はいつになるのでしょうか。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
「通勤ラッシュ、車より自転車の方が速い説」、見事に立証できましたね。
(畑中香保里キャスター)
朝の4分は大きいですよね。
(緒方大樹記者)
改めて検証結果です。朝の通勤ラッシュの時間帯、KKTから熊本市役所までの所要時間は、車が約15分半だったのい対して自転車約11分半で、4分の差がつきました。
ちなみに、検証に使ったシェアサイクルのチャリチャリは、利用には専用アプリが必要で、レンタル料は片道約77円でした。
(緒方太郎キャスター)
実は、私もチャリチャリで通勤しています。チャリチャリは決められた専用の地点で借りて返却する必要がありますが、その地点もどんどん増えていて、自転車を持っていない人でも活用しやすいですね。
(畑中香保里キャスター)
私も、たまには自転車通勤してみようかなと思いました。
(緒方大樹記者)
渋滞対策として、熊本県と熊本市は、マイカー利用を1割減らして公共交通の利用を2倍にし、渋滞を半減する目標を掲げていますが、自転車も距離や時間帯によっては有力な選択肢になると感じました。
(畑中香保里キャスター)
通勤に公共交通とシェアサイクルを組み合わせるなど、自分にあったスタイルを探してみるのもよさそうですね。
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