10万人に1人といわれる難病の熊本小学生ユーチューバー「しんちゃん」。ほとんど寝たきりの生活を送ってきましたが最近、待ちに待っていたあるものが届きました。
西岡伸一郎くん、10歳。難病で体を自由に動かすことはできません。だけど…実はeスポーツプレーヤー!さらに、4年前にはユーチューバーデビューしました。しんちゃん、将来の夢は?
■しんちゃん
「絶対にプロゲーマーになる」
2014年6月に生まれたしんちゃん。生後7か月頃から徐々に寝返りを打てなくなり、1歳の誕生日に、体の筋肉が次第に衰える難病「脊髄性筋萎縮症(SMA)」と診断されました。
転機が訪れたのは2歳の時。リハビリの一環で医師に勧められたタブレットが大きな変化をもたらしました。薬の効果もあって少しずつ手の筋力が回復。手元を見ずにコントローラーを操作できるようになりました。
小学4年生のしんちゃん、夏休みには工作に挑戦しました。
■しんちゃん
「貯金しろロボット。貯金しないと夢に出てくる」
また、ユーチューブで夏休みの思い出を発信しました。
(しんちゃんのユーチューブ)
「阿蘇に着きましたー!」
こだわりが詰まった専用の電動車いす
そんなしんちゃんが心待ちにしているものがあります。自分で操作できる電動車いすです。
■母 紘子さん
「普通の子どもだと、1歳くらいでハイハイして自分の行きたいところにいって、興味のあるものに手を伸ばして発達していくと思うんですけど、そういうことができなかったので、 本人にとってすごく大きいと思います」
しんちゃんの電動車いすを製作した八代市にある有園義肢。県内の子どものための装具や車いすの約7割を製作しています。器具はすべてオーダーメード。
■有園義肢 志水慶彬さん
「これ、しんちゃんのです」
しんちゃん専用の電動車いすです。体の圧を逃がすためのリクライニング機能や医療機器が乗せられるスペースもあります。ゲームが大好きなしんちゃん、デザインの注文は?
■有園義肢 志水慶彬さん
「このゲーミングチェアにしてって言われました。同じようなのがいいって言って。笑顔になっていただいて、あとはそれを動かしているところを見せていただくのが一番」
しんちゃんの体に合わせ、コントローラーを握りやすい高さになるよう肘おきを調整します。
秋ごろ届くはずだった電動車いす。ところが、その頃しんちゃんは、体調不良に。原因不明の吐き気で入院を繰り返し、電動車いすをなかなか受け取ることができなかったのです。
去年12月。体調が安定したと聞き、会いに行ってみると、元気にゲームをするしんちゃんの姿が。吐き気の原因は胃腸を動かす自律神経の不調でした。
Q今は大丈夫なの?
■しんちゃん
「朝ごはんをやめたらなくなった」
体調が戻り、ようやく電動車いすを受け取れるようになりました。
■しんちゃん
「ずっと待ってた。自分で動かせるから楽しみだった」
ついに届いた電動車いす もっと広がる自由な世界
電動車いすを受け取りに、母・紘子さんの運転で待ち合わせ場所へ向かいました。
■母 紘子さん
「しんちゃん、車いす届きました」
■しんちゃん
「みえた」
■母 紘子さん
「かっこいいね」
■しんちゃん
「うん」
車いすに乗り、いざ発進です。順調に進むしんちゃん。
■母 紘子さん
「この段差、越えられる?ちょっと、がたんってするよ」
(しんちゃんが段差を越える)
■母 紘子さん
「乗り心地はいい?」
■しんちゃん
「いい感じ。きょう持ってきた凧揚げをしてみようかな」
しんちゃん、凧揚げに挑戦です。うまく揚げことができました。
■母 紘子さん
「あぶなっかしくてドキドキするんですけど、横を歩けるっていいですね。本人の顔も見えるので」
その数日後。
(しんちゃんのユーチューブ)
「今年の目標は、電動車いすで動画を取ることです。頑張っていきたいと思います」
電動車いすで、新たな出発。もっともっと、自由な世界がしんちゃんに広がります。
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