天気に関するニュースの情報源となる気象情報を気象台がどうやって観測しているのか、普段知ることのない舞台裏を取材してきました。
(吉田 佳記者)
2月、県内にも雪をもたらしたこの冬一番の寒波。上空約1500メートルに-12℃以下の寒気が流れ込みました。ところで、この「上空の寒気」はどのように観測しているのでしょうか。
そのナゾを解くために訪れたのは、JR熊本駅近くの合同庁舎に入る気象庁の組織、熊本地方気象台です。
■吉田 佳記者
「上空の寒気が」という言葉をよく使うんですけど「上空の寒気」や「気温」はどう観測している?
■熊本地方気象台・藤本健太さん
「それには『ラジオゾンデ』という機械を使います。気温や風速などを計る機械を気球につけて打ち上げる観測です」
大きな風船に吊り下げて上空に放つ長さ10センチほどの観測機器「ラジオゾンデ」。
九州では福岡市と鹿児島県の鹿児島市、奄美大島の3か所で毎日、朝と夜の2回飛ばしています。こうして上空の気温や湿度、風速などを観測しているんです。
そしてもうひとつ記者が知りたかった事が。気象情報で雨の量を伝える「ミリ」という単位。雨が何ミリ降ったのかをどう観測しているか、皆さんご存知ですか?
■街の人
「知らないです。床にビーカーを置いて何ミリたまったかを計る?」
「定規?」
このヒミツも、気象台の藤本さんに聞いてみました。
■熊本地方気象台・藤本健太さん
「降水量はこの『転倒ます型雨量計』を使って測定しています」
出てきたのは、見たことも聞いたこともない道具です。
■藤本健太さん
「雨が雨量計に降り込んできてろ水器を通って転倒ますに注がれていきます。そうすると転倒ますに水がたまって、水の重みで倒れると下のスイッチを押して『0.5ミリの雨量を観測した』ということになります」
2つの“ます”がシーソーのように動き、降水量0.5ミリに相当する雨がたまると、反対側へますが倒れ、集めた雨を流します。倒れた回数が1時間に2回なら「1時間に1ミリの雨」となるんです。
この雨量計は県内26の地点にあり、熊本市では中央区京町に設置。ここでの観測値が「熊本市中央区」の雨量として発表されています。全国の気象台では、こうした日々の観測を通して天気予報から警報・注意報などの防災情報を提供しているんです。
■藤本健太さん
「テレビ・ラジオ・インターネットなどを通じて情報発信を行っていますので身の安全を守るために活用していただけるよう情報発表に努めていきたいと思います」
【スタジオ】
(吉田 佳記者)
全国の気象台では、気温や雨などのほかにも観測しているものがあるんです。
気象台では、植物による季節の観測も行っています。藤本さんが案内してくれた合同庁舎敷地内の観測場には、ソメイヨシノのサクラの標本木があり、4~5輪の花が咲いた時「熊本県でのサクラの開花」が発表されます。
(緒方太郎キャスター)
春になるとニュースでよく聞く「サクラの開花宣言」は、ここの木を判断基準にして行われているんですね。
(吉田 佳記者)
8割程度開花すると「満開」も宣言されるそうです。
熊本地方気象台では、サクラを含め6つの植物(アジサイ、イチョウ、ウメ、カエデ、サクラ、ススキ)の開花などを発表しています。
日々の予報に注目しながら、気温や天気の変化に備えてみてはいかがでしょうか。
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