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伝統重視か時代の変化に対応か 祭りの女性参加 富山

KNB北日本放送 2024年9月13日 19時35分

祭りの担い手不足が深刻化するなか、全国では男性中心で行われてきた祭りに、女性の姿も見られるようになってきています。

男女平等の考え方が広がる一方、伝統的な祭りの形を守りたいという意見もあります。

県内の祭りや伝統行事を取材しました。

8月魚津市で行われた「たてもん祭り」。

高さおよそ16メートル、重さ5トンにもなるたてもんを威勢の良い掛け声とともに勇ましく曳き回す様は迫力満点です。およそ300年続くこの祭りは、ことし、ある変革期を迎えました。それは“女性が祭りに参加すること”。

浜岡愛子さん、2024年港町で初めて、女性としてたてもんの曳き回しを指揮する役を務めました。

浜岡愛子さん

「本当に憧れのステージで、私たち女性ができるところではないので、すごく考えたんですけど、最初があるというのが大事なのかなと思ってお受けしました」

鐘を鳴らして指示を出す役割はたてもん祭りの花形。

これまでは男性が行ってきましたが、2024年は7つの町のうち4つの町で初めて浜岡さんのように女性が指揮を執りました。

女性の参加に大きく舵を切ったのは、伝統文化の継承のためです。

魚津たてもん保存会 住和克博会長

「少子高齢化で、女性の力がないと祭りは成り立たないと思いますので…、いままで何百年も続いた祭りですので、ずっと継承できるといい」

人口減少による担い手不足を、女性の参加を認めることで解決しようとする祭りは全国で増えています。

その一方で、伝統を守りたいとする意見も。

毎年5月1日に行われる高岡御車山祭は、400年余りの伝統があります。

高岡市の中心部を7基の山車が巡行し、山車に男の子が乗るのが慣例となっていましたが、2024年ひとつの町で初めて女の子が乗りました。

背景には、男女平等意識の高まりがあります。

これに対し、祭りを運営する保存会の一部の理事が「伝統を守るべき」と強く反発しました。

女の子を山車に乗せるべきではないという立場の志甫和彦理事です。

Q男女平等は、世間が認めているので

志甫和彦理事

「そうそうそう、これは当たり前のことですわ、男女平等の世の中、ただ、お祭りなんかの式典の場合は、男女平等とは別に、男と女の役割分担がありますので」

性別に関わらず役割を分担することが重要ですが、志甫理事は「高岡御車山祭は『神事』で、受け継いできた伝統を守りたい」と話します。

志甫理事

「神事のお祭りでありまして、格式の高い神事だと思うんです。神事っていうのは、神様は大切にしなきゃいけないということで、ちょっとやそっとではやめないということで、伝統はね、それはやはり、祖先に対する敬いの気持ちやと思うんです、祖先に対する敬いという気持ちが、ずっと続いてくる、これが伝統というカタチになる」

また、女性が参加できる範囲を少しずつ広げている祭りもあります。

300年の伝統がある南砺市・城端曳山祭は、曳山を盛り上げる庵屋台の地方の担い手不足が課題となる中、2024年5月、初めて女性が地方として参加しました。

しかし保存会は、現時点では女性が曳山に乗ることは認めるべきでないというのが住民や担い手の総意としています。

伝統を重視するか時代の変化に対応するか。県内でも祭りによって様々です。

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