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地震を乗り越えて 街に響く「イヤサー」

KNB北日本放送 2024年10月2日 20時50分

きのう曳山まつりが行われた射水市の新湊地域は、能登半島地震で液状化などの被害を受けました。曳山に携わる人の中には、地震で自宅が全壊した人もいますが、まつりが地域の人たちの絆を新たにしています。

「イヤサー イヤサー」

港町・新湊の心意気を示す新湊曳山まつり。370年余りの伝統を誇ります。

きのうは13基の曳山が市街地を巡りました。

地元の人

「太鼓の音を聞いたら家でじっとしていられない」

地元の人

「いつもよりたくさんの方が参加しておられる印象があるのでうれしいことだしこうやって開催できてよかった」

曳山の先頭は古新町です。新湊の曳山の中で最も長い歴史を持ちます。

古新町曳山総代 糸岡栄幸さん

「きょうは新湊全体の弥栄を祈って、一生懸命、安全に頑張って引いております」

古新町地区は能登半島地震で液状化が発生し、住宅や道路などに大きな被害が出ました。祭り本番の3日前に行われた町内曳きは、地震で傾いた電柱を撤去するなどして実施にこぎつけました。

古新町地区 曽根正人さん

「この更地が…家あったとこ」

曽根正人さん(76)です。

過去には地区の総代を務めるなど長く曳山に携わり、今年も曳き手のサポート役として参加しました。

およそ60年暮らした自宅は地震で全壊の判定を受け、8月に公費解体となりました。

今は射水市内の別の場所で暮らしています。

古新町地区 曽根正人さん

「本当言えばこの町で空き家でもあればと考えたけどもなんのせ急だからさ、生活基盤がなかったらだめだから。(1月)1日に見たときから諦めてしまったね、ここで生活できないなと」

しかし、曳山の存在が曽根さんと町を固く繋いでいます。

古新町地区 曽根正人さん

「いいねえ 見てみられま最高でしょ?寂しいけど曳山はおるから、涙でてきたがいね、うれし涙と…思い出の涙と」

今年も多くの人が訪れた新湊曳山まつり。古新町総代の糸岡さんは曳山は「人の拠り所」だと話します。

古新町曳山総代 糸岡栄幸さん

「うちの町は高齢化も進んで、日頃は静かな町なんですけど、曳山が通るとそこに人が集まってきてすごい賑やかになるわけですね。曳山は神の拠り所ではあるが、私は人の拠り所でもあると感じて町の中を引きまわっています」

「イヤサー イヤサー」

古新町地区 曽根正人さん

「あと何年間できるか分からんけどもさ、自分の体の続く限りは心は古新町やから」

住み慣れた家、そして人の心にも大きな傷を残した能登半島地震。

しかし曳山に関わる人たちは笑顔で前を向きます。

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