今から半世紀以上前に撮影された古い白黒写真をカラーで蘇らせる。そんな取り組みが先週末、射水市で行われました。写真を持ち寄った地域の人達にはそれぞれのドラマがありました。吉田記者がお伝えします。
■白黒写真をカラー化 反応は
今月9日に射水市で開かれたイベント。
会場の一角には、古い白黒写真をカラーにするブースが設けられていました。
「ちょっとクリックするだけ…」
取り組みを行ったのは、富山県立大学の学生たち。
地元・小杉のまちづくり協議会とともに地域の歴史の継承に取り組んでいます。
依頼者のひとり、大石嘉昭さんです。
大石さん「母親の結婚前の(写真)。63・4年前くらいですかね」
持ってきたのは、母・都さんが嫁いだ時の写真。
85歳になった母に代わり、写真を持ってきた大石さんには気になっていたことがありました。
「(着物が)白地にピンクなのか、何なのか。これ見たら赤とか黒とか混じってるんかなという感じですけど…」
事前に画像を読み込んで色彩を学習させたAIを活用し、思い出の写真に色を付けていきます。
処理すること、およそ10分。
学生「いちおう、完成したものです」
大石さん「おおー!赤とかじゃないんだ。想像だとピンクとかの柄なのかなと思ってたんですけど…」
色がついて、初めて知った母親の晴れ姿。
大石さん 「こんな若いときの母の写真をカラーで見たのは初めてなので、母もどんな反応するか楽しみです」
■よみがえる それぞれの思い出
高寺政守さん(75)「この橋がもう下条川にないので。もう洪水でなくなってそれきりになっていたので、なお思い出があるかなと思って」
高寺さん 「こんなに綺麗に出るの?いやこれはうれしい。よかったねえ。来てよかった。こんなにきれいに写っているとは思わなかったので」
女性「60年は経ってるのかなという感じですね。本当に良い企画していただいたと思って、母も喜ぶと思います。こんな企画がないとカラーで見られなかったので、うれしいです」
男性 「わしもだいぶ年になっとるがで、なつかしいちゃ。とか言って覚えとるか言うたらこんな小さいもんだから、なん覚えとらんがやけど、練りまわってワーワー言っていたのは記憶にあるがね」
Q「白黒とカラーでは違いますか」
男性「違うね。いい時代なったね。長生きせんなんちゃ、なんでも」
終盤にブースを訪れたこちらの女性。
持ってきたのは女性が生まれる前、1960年代に撮影された写真です。
写っているのは、病気で亡くなった両親です。
女性 「親戚が集まった集合写真です。昭和40年ぐらいじゃないかな。これは前からカラーになったらどうなるんだろうって、気にはなっていた一枚でした」
半世紀以上前の家族の姿が、鮮やかによみがえります。
大学生 「こんな感じで」
女性「ええ〜、すごいですね!全然想像していた色と違います、ありがとうございます。両親に見せたいですね。お墓に持っていきます。この頃の両親には会っていなんですけど、身近な感じがします。ご無沙汰してますという感じですね。久しぶりに会った感じがします。感慨深くて今、胸がいっぱいですけど、両親がいたから、私がいて、子どもがいるので、感謝ですね。改めて」
大学生「カラー化、初めてだったけど、来たお客さんとかが喜んでいる顔を見て、やってよかったなと思いましたね」
大学生「カラー化したものを提供して、受け取った方が(こんなに)喜んでくださるんだったらまた来年もやれたらいいなと思います」
昭和から平成、そして令和へ。
時代を越えて彩られた写真は、家族の笑顔もつなぎました。
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