今年、創部21年目にして初の全国高校サッカー選手権出場を決めた龍谷富山高校。創部当初からチームを指導し県内の強豪校へと育てあげた濱辺 哲監督の歩みを振り返ります。
■ゼロからのスタート 龍谷富山サッカー部の歩み
濱辺 哲監督「うれしいこともあったし、つらいこともあったけれども、続けてきて良かったなという一心ですね」
富山駅近くに校舎を構える私立の龍谷富山高校。今年の夏には卒業生の中山楓奈選手がパリオリンピックに出場し、学校全体が沸きました。
その中、一際大きな声で会場を盛り上げていた先生。龍谷富山サッカー部の濱辺 哲監督(45)です。
創部21年目で初めて、全国高校サッカー選手権県大会の決勝に進出し、優勝した龍谷富山。ここに至るまでは、決して平坦な道のりではありませんでした。
さかのぼること20年前の2004年。今も変わらない土のグラウンドに、若かりし日の濱辺監督の姿がありました。
学校の男女共学化に伴って、2004年、龍谷富山に男子サッカー部が誕生。立ち上げに尽力したのが、教員生活をスタートさせたばかりの濱辺監督でした。
千葉県出身で、強豪・習志野高校を経て東京学芸大学を卒業。その後カターレ富山の前身アローズ北陸のゴールキーパーとしてプレーするなど、第一線で活躍してきました。
しかし指導者としての人生は、部員不足からのスタート。初心者、経験者が入り混じる中、誰よりも泥だらけになりながら、体当たりで選手たちを指導する日々が続きました。
濱辺監督「長かったですね。もうちょっと早く全国にたどりつくかなと思いましたが、やはり富山の伝統校を打ち崩すってことが簡単ではないことを思い知らされた20年だったので」
頂点を狙う龍谷富山が、過去何度も挑みながら越えられなかったのが準決勝の壁です。
98回大会では、閉校となった水橋高校に2度リードしながらも、延長戦の末、逆転負け。続く99回大会では王者・富山第一高校に0対4で完敗。富山の高校サッカーをけん引してきた2校を超えることができずにいました。
そして迎えた今大会。龍谷富山にとって最大の山場は、やはり準決勝でした。相手は創部以来、一度も勝ったことがない富山第一。それでも県大会9連覇中の絶対王者に真っ向勝負を挑みました。
そして龍谷富山が4対1で富山第一に歴史的な勝利。伝統校の壁を乗り越え、初の決勝進出を決めました。
■悲願の初優勝 そして全国への挑戦
悲願の初優勝に向けて、決勝の相手・富山東は、濱辺監督にとって特別な思いのある高校でした。
濱辺監督「教師1年目で初めて出た選手権(県大会の)相手が東高校だったの」
龍谷富山初めての選手権県大会出場は2004年の83回大会。
濱辺監督「土のグラウンドで0対15。1人退場者も出して、屈辱的な選手権のデビューだった。奇しくも20年経って、こうして同じ相手にリベンジできるチャンスを君たちがくれたことに本当に感謝しているし、本当にチームのために思い切りやってほしい、それだけを願っています」
惨敗から始まった龍谷富山の高校サッカー選手権。あれから20年、今年は全国大会出場をかけた決勝戦で再び富山東と対戦しました。
「冷静と情熱のあいだ」をテーマに戦った決勝。紫のユニフォームの選手たちは80分間、すきの無いプレーを見せました。
そして濱辺監督が立ち上げた龍谷富山高校サッカー部が、20年の時を経て悲願の初優勝を遂げました。
試合実況「富山のサッカー史に新たな1ページが刻まれました。龍谷富山、初めて富山の頂点に立ちました。濱辺哲監督、ゼロから築き上げた龍谷富山高校サッカー部。情熱と愛情を注ぎ続けた、全力で走り続けた20年間、今ようやく花開き、歓喜の瞬間を迎えました」
濱辺監督「楽しみで眠れない日々が続いたんですが、あっという間に過ぎていった80分間だった。いろんな意味で大変なことはあったけれど、あれが私の原点なので、本当にあそこから一歩ずつ一つずつ積み上げて今があると思っているので、当時頑張ってくれた子にも感謝していますし、彼らにとっても良かった一日だったかな」
サッカー部とともに全力で駆け抜けてきた20年。濱辺監督率いる龍谷富山イレブンが、初の全国の舞台に挑みます。
濱辺監督「何とかまず1勝して、勢いに乗れば強い代なので、何とかまず1つ取って2つ、3ついければと思います。初戦に全力をぶつけたいなと思います」
龍谷富山の対戦校が決まる組み合わせ抽選会は、今月18日に行われます。
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