衆議院富山1区選出で自民党の田畑裕明議員をめぐり浮かび上がった党員登録の問題。
普段、党員はどのように集められ、党費はどう集めているのか。
県内有権者に占める党員の割合が全国トップという県連に実態を聞きました。
【宮本幹事長】
「県連の財政運営や強い組織を作ろうということで取り組んだのは平成26年から、特に3万人の党員を目指そうという運動をスタートさせたのはその時期ですよね」
自民党県連の幹事長、宮本光明県議会議員です。
2014年、党本部で党員目標を120万人とする取り組みが始まり、自民党県連も連動しました。
県内で運動を始めた翌年には、党員は3万1000人まで増えました。
このとき、党本部が方針として示したのが国会議員1人当り党員1000人確保の「ノルマ」です。
富山1区の田畑議員は2012年に初当選。
ノルマ制はその2年後に始まりました。
先週の会見で田畑議員は、現在、事務所で管理している党員は727人だと話していて、ノルマに達していないように見えますが。
【宮本幹事長】
「国会議員の方が必ず自分だけで集めてくるってことじゃなくて、私どものように県連も協力してやってることになれば、そんなに大きい数字ではないと思うんですけどね」
Q特に富山県は保守王国なので難しいノルマではないと?
「僕はそう思ってますけどね」
田畑議員は、県連の協力を受けノルマは達成していて、ほかに4人いる県選出の自民党国会議員も全員1000人以上の党員を確保しているということです。
【田畑議員の会見】
「不適切な党員は100名前後」「関与していない」
ノルマの達成は容易なのになぜ不適切な党員登録をする必要があったのか。
取材に応じた支援者のひとりは自身が勤める企業で従業員や架空の家族が無断で党員登録されていたと証言しました。
党費は1人年間4000円。
この支援者はこれまでに「党費を支払ったことはない」といいます。
また、田畑議員からは党費の支払いについて企業献金をあてていたと説明されたうえ、「田畑議員の亡くなったおじが払っていたことにしてくれ」などと口裏を合わせるよう求められたと話しました。
一般的な集金方法はどうなっているのか。
【宮本幹事長】
「今も現金で集金しています1軒1軒、顔を見て、お願いしますよって、文句も言われながらもらってきたりする作業が、これまた組織にとって大事だろうっていうこともあります」
Q本人以外が党費を支払うケースは?
「原則ないですね」
Q実際はどうか?
「いや、ないと思いますけど」
集めた党費の配分割合は、4000円の一般党員の場合、
・党本部に800円、
・県連に1100円を納め、
・残りの2100円は選挙区支部と地域支部に振り分けられます。
田畑議員が明らかにした不適切な党員登録はおよそ100人。
仮に全員が4000円の党費を支払うとすれば総額で年間40万円が必要です。
田畑議員が代表を務める政治団体の収支報告書には支出に「党費」の項目はありません。
この党費は、一体どこから捻出していたのでしょうか。
仮に肩代わりしていたとすれば法律で禁止されている選挙区内の有権者への寄付行為にあたる恐れがあります。
宮本幹事長は田畑議員の不適切な党員登録についてどう考えているのか。
【宮本幹事長】
「地域の中でみんなも一生懸命、党員を増やしてくれている。だから自分も企業の関係者などいろんな方々にお願いして、党員を1人でも増やしていかなくちゃいけないというそういう気持ちはあると思うし、あったんだと思います。どこかで何らかの問題が生じて、今のようなことになっているということなんですが、純粋なスタートはもちろん、そこだと私どもは信じていますけど」
田畑議員は調査中だとして今も詳細について説明をしていません。
【宮本幹事長】
「自らの口でおっしゃっていただかないと、僕らも変に憶測だけで話はこれ以上はちょっとできないですよ」
党費の支払い期限は来月31日です。
これから党費集めをする自民党所属議員の間には困惑が広がっているといいます。
【宮本幹事長】
「正直言って県議さんも市町村議員さんもご苦労はされていると思うよ。自民党に対する評判が良いときは、そりゃ、いいかもしれないけど、こういう問題が続いたりすると、やはり、なかなかね、新しく党員になるという人を探すのも難しい。引き続きやっていただきたいと思ってもなかなか難しい我々にとっては極めて残念だ」
党本部は、田畑議員に対しあさっての臨時国会前までに説明するよう求めていますが、今のところ、いつ誰に説明するかや、会見を開くかどうかの情報は入っていません。
党への説明はもちろん、有権者にも分かりやすく説明してほしいと思います。
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