南極で様々な観測や研究を行う南極観測隊が来月、日本を出発します。66回目となる今回の観測隊には、研究職と技術職で2人の富山県関係者が参加します。出発を前に意気込みを聞きました。
1965年に、国際地球観測年の事業として始まった日本の南極観測。
来週水曜日、66回目となる観測隊が日本を出発します。
今回の観測隊には2人の富山県関係者が参加します。
県環境科学センターから初の南極観測隊員
富山県環境科学センターの研究員、木戸瑞佳さんです。
大気中のPM2.5や酸性雨などの研究をしています。
大学教授を務める友人から南極で大気の観測をする人を探していると声をかけられ、観測隊への参加が決まりました。
県環境科学センター 木戸瑞佳さん「私は南極の空気中にどんな微粒子が入っているか、そういう大気の観測をするのが一番メインの仕事になります。日本と比べてとてもきれいな空気なんです。南極の空気が汚れたら世界の空気が汚れたと思えるかもしれないので、南極での大気観測が重要になるんですけどやはり風に乗って汚れた空気がやってくるときがあるので、そういう汚れた空気がどういうときにどんなところから運ばれてきて、いろんなものが増えるかというのも観測することになります」
南極は日本と反対に、これから夏を迎えます。
木戸さんは、夏の時期の3か月間に活動する夏隊に参加します。
センターの研究員が南極観測隊に参加するのは初めてです。
木戸さん「すごくうれしいですね。実際はどんなところかなというのがとても興味があったので、今回実際に行けて自分で観測ができることがすごくうれしいです」
愛知県出身の木戸さんは、富山と南極のあるつながりを知り、さらに南極に興味がわいたといいます。
木戸さん「南極の1次隊で芦峅寺の人が5人も行ってるってことを知ったんです。それでまた南極に特に興味がわいて、今でも1次隊の人が作った建物が残っているそうなので、ぜひそれは見てきたいと思っています」
国立極地研究所から越冬隊へ
そしてもう1人、今回の南極観測隊に参加するのが、富山市出身で東京の国立極地研究所の職員、北村剛祥さんです。
南極の昭和基地と日本をつなぐ衛星通信の設備の保守などを担当します。
北村さんは1年を通して南極に滞在する越冬隊に参加します。
国立極地研究所 北村剛祥さん「南極というと厳しい環境かなと思うので、そういうところでの共同生活を超えられれば自分が成長できるのかなと思って志願しました」
南極では業務の他にも楽しみにしていることがあるといいます。
北村さん「越冬隊ですと生活係というのがあって、各隊員が生活に関する係を担当しなくてはいけないんですけど」
長期間、共同生活をする越冬隊では、生活を彩りあるものにするため、食事や娯楽などの世話をする14の係があり、隊員1人が3つ以上の係に所属するといいます。
北村さん「その中で私は理髪係、バー係、パン係その3つの係をやるのをとても楽しみにしています」
極地へ
南極という厳しい環境での任務に初めて挑む2人。
その意気込みは。
木戸さん「与えられた大気観測の仕事をちゃんと軌道に乗せて、次の人に引き継ぐっていうのは一番なんですけど、やっぱり実際に氷山とか行かないと見れないものがすごく楽しみで、しっかり観測をすることと、楽しむ余裕ができるように、とにかく楽しみを見つけたいですね」
北村さん「私に割り当てられた業務、ミッションがあるのでそれはきっちりこなしていきたいなと思います。あとは楽しみたいですね。帰ってくると、見えている風景が違うのかなと勝手に想像しています」
観測隊は来週水曜日に出国し、南極の昭和基地に到着するのは来年1月2日の予定です。
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