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国内最後の立山トンネルトロリーバスに別れ その歩みとは

KNB北日本放送 2024年12月2日 20時47分

立山黒部アルペンルートはおととい、今シーズンの営業を終えました。老朽化などで「ラストイヤー」となった立山トンネルのトロリーバスは、惜しまれつつ最後の運行を迎えました。岸谷デスクの取材です。

■アルペンルートの旅を支えた トロリーバスの歩み

KNB北日本放送

おととい、標高2450メートルの室堂ターミナルです。

岸谷「雪のため、富山側から上がることはできませんが、ここ室堂には、多くの人が訪れています」

先週末は雪で美女平からの高原バスが運休したため、長野県側から取材に入りました。

室堂駅にはトロリーバスの最後の姿を見届けようと、全国からファンが集まりました。

東京からの親子 父親「私が山が好きなので、立山に行ったりとか、剱岳に登ったり、その時に子どもも一緒に来て、それで結構頻繁に(トロリーバスに)乗っています。色もデザインも好きだったので、本当に残念です」

子ども(8歳)「5回位(乗った)」Qどんな言葉をかけたい「ありがとう」

立山トンネルのトロリーバスは、室堂と、標高2316メートルの大観峰の間、3.7キロを結んできました。1996年の運行開始から29年、利用者は累計で1992万人。

その特徴は、道路の上に張られた架線から、バスの屋根にあるポールで電気を得て走ることです。

法律上は「鉄道」の、この乗り物。かつて東京や大阪、名古屋などでも走っていましたが、1970年代初めまでに姿を消しました。

一方、アルペンルートでは、黒部ダムと長野県の扇沢を結ぶ関電トンネルで、ルート開業当初からトロリーバスを運行。

立山トンネルでも、バスの排気ガスによる環境への影響に配慮して、1996年にトロリーバスが導入されました。

しかし関電トンネルでは、車両更新のタイミングで2018年にトロリーバスが引退し、充電式の電気バスに切り替え。

国内最後のトロリーバスとなった立山トンネルでも、設備や車両の老朽化から今年限りで運行を取りやめ、来年からは電気バスが走ります。

訪れた人「トロリーポールで電気をとって走ると言うのはここだけなので、それに魅力を感じますね」「最後だから見届けようかと、そんな感じで来ました」

■「ありがとう」「さようなら」29年の歴史に幕

KNB北日本放送

おととい午後3時、ついに最後の運行の時を迎えました。抽選に当選した200人が列をつくり次々と改札へ。

そして出発式では、関係者が「ありがとう」「さようなら」と書かれた横断幕をもってホームに並び、乗客は写真や動画を撮って名残を惜しみました。

立山黒部貫光 堀田淳一室堂運輸区長「やはり今年1年、正直具合の悪い車両もありました。何とか1年無事故でやれたことは誇りに思っています。(トロリーバスの運転は)誇りに思っていますし、良い宝物になるかな」

公共交通に詳しい専門家は「産業遺産」や「山岳観光の歴史」の観点から、トロリーバスの活用を提案しています。

地域公共交通総合研究所 研究員(富山大学出身)服部重敬さん「(トロリーバスが)富山にあって、それが山岳トンネルで非常に有効に使われていたということを、1つの歴史として、富山の交通史みたいな形で残されていくというのは非常に良いと思います。富山地方鉄道の電鉄富山駅が高架化するわけなんですけれど(高架下を)有効的に活用する、そのような場所に展示施設等作ってくれれば、立山へ行く観光客が時間のある時に見てもらえる」

惜しまれつつ運行を終えた国内最後のトロリーバス。その姿は、アルペンルートの歴史の一コマとして記憶に残っていきます。

立山黒部貫光は、今月下旬、来シーズンからトンネル内を走る電気バスの概要を公表する予定です。

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