今シーズンのブリ漁は、富山県など北陸では好調な一方で、隣りの新潟県では不漁が続いています。なぜこのような差が生じているのか、その背景を専門家にききました。梅本記者のリポートです。
先月20日に「ひみ寒ぶり宣言」が出された氷見漁港。水揚げ本数は、宣言からの3週間で3万本に達する勢いです。
番屋亭 山本貴弘料理長「元気になりますよ、ブリさまさまですね」
脂がのった刺身に、出汁にくぐらせたしゃぶしゃぶと、様々な料理が楽しめるブリ。しかし、寒ブリ漁は今シーズン、場所によって明暗が分かれています。
ブリは新潟県の佐渡島では「佐渡市の魚」として親しまれています。今月8日には恒例の「寒ぶり大漁まつり」が開かれました。しかしこの日、会場で売られていたのは、ブリではなく佐渡産のマグロ。
また、人気の寒ブリレースに出場したのはブリより小型のワラサ。今年、佐渡ではブリの不漁が続いています。
内海府漁業生産組合 本間信俊組合長「ブリがいないのではなく、佐渡には寄りません。富山、石川、福井、京都と回遊していますので、ある意味、めぐり合わせの部分もあるのかなと。ただ待つのみです」
佐渡島にある両津湾は、新潟のブリ漁の大半を支えていますが、10月と11月の水揚げは合わせてわずか78本にとどまりました。
この期間の水揚げ本数は、過去10年ほどの平均と比べると、わずか1パーセントという厳しい結果になっています。
ブリが日本海をどのように回遊するのかが、漁獲量を左右すると考えられています。
水産資源研究所 倉島 陽主任研究員「日本海の沖合のほうに冷たい海域ができると、それを避けるように暖かいところを通ったり、その逆もあったりというところで、ブリが、いちばん泳ぎやすい水温のところを探して多分回遊していると思う」
回遊魚のブリは冬になると、冷たい海水を避けて北から南下します。
この時、東北の沖合の海水温が下がると佐渡島の近くを通り、両津湾が豊漁に。逆に東北沖が暖かく能登半島沖が冷たいと、富山湾が豊漁になる傾向にあります。
倉島主任研究員「それ(冷たい海域)は、突発的な天気に左右されるというよりは、大きな冷たい水のかたまり、すごく大きいかたまりということですね。まあ、なかなか当たる予報は出せない」
寒ブリのシーズン。それぞれの港で漁師たちは、豊漁を願いながら漁にでています。
過去には今シーズンと逆に、氷見で不漁で佐渡島では豊漁だった年もありました。
今年、氷見の飲食店や宿泊施設は、ブリの豊漁が能登半島地震からの復興の後押しになると期待を寄せています。
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