エブリィでは、今年にかける県内の挑戦者をシリーズでお伝えしています。 きょうは、AI=人工知能が恋人や夫婦の良き相談相手になる、そんな夢のようなアプリを開発した、朝日町出身の学生起業家です。
地方の課題にも取り組みたいと話す若者に、描く未来を聞きました。
■目指すのは”頼れる相談相手” 開発したアプリが最優秀賞受賞
「わくわくしますね。子どもの頃の感じが」東京大学大学院生の小川凜太朗さん(23)。去年末、ふるさと朝日町に帰省するため、1年ぶりに富山を訪れました。
小川さんは、大学院で機械工学を学ぶ一方、会社経営者でもあります。去年秋、同年代の仲間とAIアプリの開発を手掛ける会社「G.P. EYECE」を立ち上げました。
小川さん「ずっと自分の人生のビジョンというのは、就職ではなく、何か自分でやりたいことを見つけて挑戦していこうという事は考えていて、とにかく失敗したらどうしようとか思わないでやってみようと思ったときに、今やっているAIのアイディアが降ってきたというか、そういう感じなんですよね」
開発したのはコミュニケーションAIアプリ「standby.」。いわゆる生成AIは、利用する人とAIの関係が1対1ですが、スタンバイは、複数の人と関係性を持つことに大きな特徴があります。
例えば、AIは恋人や夫婦などの情報をLINEの会話履歴などから学習し、互いの悩み事に対し、いつでも瞬時に的確なアドバイスを返し、2人の仲を取り持つことが可能だといいます。目指すのは”頼れる相談相手”です。
小川さん「(自分自身も)もともと人間関係について、深い関係であればあるほど、どうしゃべっていいのかとか、 相手のことを思いすぎたりする、モヤモヤすることがあって、ああ、これだったらこの課題を解決できるんじゃないかなと思ったところがきっかけで」
高校生のころまでは、自分が将来どんな道に進みたいか思い描けなかったといいます。
小川さん「思い返すと恥ずかしくなる感じなんですけど、本当に臆病で、リスクから逃げまくる人だったんで」
臆病な自分から一歩踏み出そう、その決意で仲間と開発したこのアプリ。去年、IT大手「Google」などが開いた、アイデアの斬新さや技術の優秀さなどを競い合うイベントで、最優秀賞を受賞しました。
■地方でもチャレンジできる土壌を作りたい
今、力を入れているのが、地球温暖化、人口減少など、2040年に待ち受ける様々な課題への取り組みです。地方が抱える問題を解決し、地方創生を図りたいと考えています。
小川さんを指導する教員は、取り組む姿勢を評価しています。
慶応義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 加藤靖浩特任講師「自発的に自分事として行動してほしいという我々の意図もあって、小川さんがそこの先駆者みたいな形ですね」
ITを生かし、子どもや若者が地方にいても、都会と同様に夢や仕事にチャレンジできる土壌を作りたい。小川さんの夢は広がっています。
小川さん「失敗を恐れずに、自分が良いと思ったことに対して挑戦できるような、そういう世の中に、地方ももっとしていかなきゃいけないなとは思います。今本当に世間知らずの愚か者と いう立場だからこそ、何かできることがあるのかなと思うので、最高の愚か者たちと共になにかやっていけたらなと思っています」
このAIアプリは近々、私たちも使うことができるよう、最終準備が進んでいて、地方創生の活動も今年、本格的に県内などで動く予定だということです。
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