県内では燃料価格の高騰で様々な影響が出ています。値上げに踏み切ったガソリンスタンドのほか、対策に頭を悩ませているバス会社やイチゴ農家を取材しました。吉田記者のリポートです。
先週木曜日。
富山市内のガソリンスタンドでは、1リットルあたり186円だったレギュラーガソリンの価格が5円値上がりし、「191円」となりました。
北日本物産・中島給油所吉田秀也所長 「会社に入って30年近く経つが今回のような値段を見たのは初めて」
政府が石油元売り各社に出している補助金を1リットルあたり5円程度縮小し、全国で値上げが実施されました。
半月ほどの間に10円も値上がりしていて、県内で影響が広がっています。
バス会社「あまり燃料を使わないように心がけている」
こちらは、富山市牛島本町にある富山地方鉄道の自動車営業所です。
この会社では、路線バスや高速バスなど毎日およそ100台のバスを動かすために1日あたり1万リットルの軽油が必要で、値上がりの影響は大きいといいます。
富山地鉄 富山自動車営業所 上口享宏所長 「バスは軽油で動いているので、価格が上がればその分、経費が増える。なかなか運賃に転嫁することが難しいので我々の企業内の努力でなんとか収めている」
近年、軽油の高騰が続いています。
5年前と比べて1リットルあたりの価格が20円、上昇し、この会社では年間の燃料費が数千万円、増加しました。
会社では、利用の少ない便のダイヤの見直しや燃料を極力使わないような運転をするなど、工夫をしているといいます。
バス運転手「急発進や急加速をするとどうしても燃料を無駄に使ってしまうので、ゆっくりとした発進を心がけてあまり燃料を使わないように心がけています」
富山地鉄 富山自動車営業所上口享宏所長 「燃料価格は、運行経費に直接影響するもの。早く落ち着いて、少しでも値段が下がってくれることを望むだけです」
イチゴ農家「価格転嫁できないのが実情」
吉田記者「真っ赤に実ったイチゴ。燃料費高騰の影響は《食》にも広がっています」
こちらは射水市のアグリッチ農園です。
燃料費の値上がりはイチゴの栽培にも大きな影響があるといいます。
アグリッチ農園 松本剛明代表取締役 「ボイラーはイチゴのハウス内の温度を5度以下にしないように常に暖房を焚いている、そのために必要なんです」
この農園では4500平方メートルの敷地に17棟のビニールハウスを構え、イチゴを栽培しています。
ボイラーを稼働するための灯油の量は年間、8000リットル。
金額にしておよそ100万円にのぼりますが、ここ数年、灯油も値上がりが止まりません。
アグリッチ農園 松本剛明代表取締役 「5、6年前に比べても灯油の値段が1.5倍くらいになっているので、経費に換算すると数十万円コストアップになってくるので、その分経営的には厳しい状況にはなりますね」
資源エネルギー庁の統計では、県内の灯油の店頭価格は今月14日時点で1リットルあたり123円。
10年ほど前と比較すると、大幅に金額が上昇していることがわかります。
また、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから肥料などの資材も高騰が続いていて悩みの種です。
アグリッチ農園 松本剛明代表取締役 「価格転嫁したいけど…できていないのが実情ですね。灯油価格がもちろん下がってくれれば本当にいいなと思いますし、その分イチゴの価格が上がってこれば良いんですけど、現状そうなっていないので、イチゴの価格と灯油、資材コストのバランスの見極めがすごく難しいですね」
値上げの波が押し寄せ、イチゴ農家にとっても厳しい経営が続いています。
この記事の動画はこちらから再生できます