こちらは高岡市の博労小学校に残されている児童の卒業記念作品をテーマに、KNBが27年前に放送した番組です。博労小学校では、その後も卒業生の作品が残され、絵画や書、作文あわせて3万7000点が保管されています。これらの作品の企画展が今年4月に開かれることになり、準備が進められています。梅本記者がお伝えします。
梅本記者「棚に並んだ子どもたちの作品の前に身を置きますと、100年を超える時の流れというのを感じます」
時代を映す作品「貴重な第一級の資料」
高岡市の博労小学校は、1901年、明治34年に開校しました。
開校した当時から、卒業する子どもたちが絵画や書、作文を学校に残していくという伝統が続いています。
KNB番組『12歳が描いた20世紀』
「街の発展と共に配水塔が描かれる部分は少なくなり、昭和30年代に入ると、瓦屋根の上にテレビのアンテナがみられるようになります」
KNBは、今から27年前の1998年、卒業生が残した1万点に及ぶ絵画作品をもとに番組を制作し、関わる人々の思いや子どもたちを取り巻く社会のあり様を伝えました。
米倉斉加年さん(故人)「この子どもたちの絵画を通しながら、私たちは20世紀というこの広大な時空を見ることができます。この作品は、今世紀(20世紀)を伝える貴重な第一級の資料となるのではないでしょうか」
広島大学大学院 蜂谷昌之准教授「赤が明治です、ブルーの所が大正時代になります、黄色が昭和になって・・」
今春に企画展開催へ
番組から27年、その後も描き続けられた作品の企画展が今年春に開かれることになりました。
展示作品を選ぶのは、美術教育史が専門で、番組をきっかけに研究を続ける広島大学大学院の蜂谷昌之准教授。
そして、博労小学校の創立100周年に開設された「ばくろう思い出館」の松本一郎館長です。
「校区の街の様子の特徴をよくとらえた、とってもいい作品ですよね」
「もう、丁寧に描いてあります」
作品は、時代ごとの学校周辺や高岡の街を描いたものなど様々です。
蜂谷准教授「これはですね、明治43年の、卒業記念画になりますね」「教科書をそのままお手本として描くという、そういった授業の実践が行われていた時代なんです」
筆が入った筆立てを描いた、115年前の作品です。
蜂谷准教授「自分で表現したいものを追記したりとか形を変えてみたりだとか、子ども自身の、創意工夫のようなものをみることができて、非常に面白い作品だなと思います」
「美術の表現の多様性感じ取ってほしい」
卒業生が残した作品はおよそ3万7000点。
このうち1万5000点が絵画で、企画展では、この中から300点が紹介される予定です。
蜂谷さんが手にしたのは、今から7年前、2018年度の卒業生が校舎の前を描いた絵です。
蜂谷准教授「道が緩やかにこう、カーブしている様子であるとか、電信柱からずっとかかっている電線の感じとかが非常に良くて。(明治の)お手本画とずいぶん時間も離れていて図画教育もずいぶんこう、大きく変遷を遂げていきます」
蜂谷さんは、作品を通して、見る人がそれぞれの時代を語り合うことに企画展の意義があると話します。
蜂谷准教授「いろいろな美術の表現の多様性みたいなものを感じ取っていただければまずうれしいですし。身近な方と、ご家族の方と、それを語り合っていただけたらうれしいなと思っています」
明治から令和まで 地域のつながりつくる
学校の創立100年、2001年に開設された「ばくろう思い出館」です。
卒業生の作品およそ60点が展示されていて、正月とお盆に一般公開され、帰省した卒業生などが訪れるということです。
松本一郎館長「地域のつながりですね。図画という作品をきっかけとして、そしてそこでまたそのかたまりができて、その中で地域を守るといいますか、それはひとえにこういうきっかけがあるからじゃないかなと」
明治から令和までおよそ120年、博労小学校の卒業生が残した作品の企画展「あの頃みんな子どもだった」は、4月5日から5月11日まで高岡市美術館で開かれます。
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