【KOREA WAVE】韓国慶尚北道英陽郡(キョンサンプクト・ヨンヤングン)は、韓国で人口が最も少ない基礎自治体(先月時点で1万5517人)だ。
面積(815平方キロ)は、人口100万人を超える京畿道華城市(キョンギド・ファソンシ)の700平方キロより広いが、稼動中の信号機は3つしかない。文字通り最も早く消滅に向かっている地域というわけだ。
このような英陽郡にチャンネル登録者数300万人を超えるユーチューブチャンネルである「ピシック大学」が訪れ、不要な注目を浴びている。
ピシック大学のユーチューバー3人は先月11日、自分たちが出演する「慶尚道で最も小さな都市・英陽に来たよぅ」という36分の映像をアップした。
ところが、そこで3人は「私は公務員だが、もしここに配属されたら……、辞めてしまうよ」と発言したり、地域の名前を「ここ中国じゃないですか?」と揶揄したり、地域特産品を味わったあとで「おばあさんの肉をむしり取ったみたい」と表現したりした。
この映像を視聴した人が「過度に地域をさげすんでいる」と批判を始め、その後、登録者が10万人以上減った。
事態が深刻化すると、地元の首長が自ら「まるで英陽郡が現代文明から遅れた地域として知られるようになったのは残念だ」と批判した。
韓国電力英陽支社長も「携帯電話中毒になったら、韓電に就職して英陽に送ってほしいなんて! そう言われたら、英陽支社勤務の後輩たちがとても気の毒です。誰かが必ずしなければならない仕事なので、公務員も韓国電力の職員も、ここに来ているのです」と訴えた。
その後、ピシック大学の3人は英陽郡を訪れ、首長に謝罪したものの、批判は収まっていない。
事実、ピシック大学の出演者に、地域をさげすむという意図や悪意があるとは思えない。だから、かえって問題は深刻なのだ。大都市で育った若い世代が、地方の小都市に対してどのような認識を持ち、いかに無関心なのかを垣間見ることができるためだ。
こうした観点から、今回の論議がピシック大学に対する非難という次元を越え、消滅地域に対する関心を持つきっかけになればと願う。
最近、取材のために人口減少地域をたびたび訪問する。そのつど、大都市の住民は、地方の小都市が担っている水源と発電所、軍事施設、矯正施設のおかげで水道・電気を便利に使用し、安全な生活ができているのだと痛感する。
今回の騒動で明らかになった都市と地方間の認識の差を解消する。そのためにも、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が掲げている「大韓民国のどこでも暮らしやすい地方時代」という国政課題の解決が切実に求められている。【MONEYTODAY イ・チャンミョン記者】
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