Infoseek 楽天

低出生高齢化と核家族化の韓国…繰り返される「親に対する暴力事件」

KOREA WAVE 2024年7月16日 16時30分

ピクサーベイ(c)NEWSIS

【KOREA WAVE】韓国・蔚山地裁はこのほど、特殊尊属脅迫などの罪に問われた40代男性に懲役3年の判決を言い渡した。7年間の障害者関連機関への就職制限も命じた。

男性の母親は脳卒中で倒れ、障害を持つようになった。母親が退院後、男性は一緒に暮らすようになったが、母親に常習的に暴行を加えていた。

こうした事件は初めてではない。6月には認知症になった母親の世話が難しくなり、兄弟が一緒に自殺を試みるという悲惨な事件も起きた。5月には、脳梗塞で体が不自由な父親を数カ月間にわたり暴行して死亡させた20代が、懲役刑の判決を受けた。昨年12月には、重度障害のある母親に常習的に暴行して死なせた30代が実刑判決を受けている。

低出生高齢化と核家族化が進み、こうした介護と関連した事件・事故は珍しくなくなった。2008年に家族で海外旅行に行き、親だけを空港に置き去りにしたまま残りの家族が帰国したという事件があった。2021年には大邱で父親と二人きりで生活していた息子が、脳卒中になった父親の診療費を支払わず、適切に食べ物も与えないまま、父親を死亡させたという事例もあった。

韓国は来年、全人口のうち高齢者人口が20%以上となる超高齢化社会に突入する。2030年には高齢化率は25%に達し、世話が必要になる高齢者は増加するばかりだ。

問題は、急速な家族ケアの解体だ。低出生の影響で、世話を提供する家族自体がいなくなり、行政安全省の資料によると、平均世帯人員は2013年の2.5人から、2022年には2.17人に減った。合計特殊出生率は0.7人台まで落ち込み、子どもがいない「ディンク族」や未婚世帯も増加する傾向にある。

高齢者の認識も変わりつつある。財団法人ケアと未来が先月3日に発表したケア実態や認識調査の結果によると、満55歳から64歳までとなる1960年代生まれの成人男女980人のうち、子どもと暮らしたいという回答は6%に過ぎなかった。

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News

この記事の関連ニュース