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北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」

KOREA WAVE 2024年7月22日 16時30分

坡州(パジュ)の軍事境界線から眺めた非武装地帯(c)news1

【KOREA WAVE】北朝鮮のエリート階層である外交官の脱北が続いている。海外生活中にインターネットなどで北朝鮮の実像に接した海外派が、新型コロナによる封鎖期間中に外貨稼ぎに集中し、それが終わった後には本国に呼び戻されるため、大きく動揺しているという。

こうした傾向は、昨年11月に亡命したイ・イルギュ氏(キューバ駐在北朝鮮大使館参事)のインタビューで改めて確認された。

イ・イルギュ氏は朝鮮日報とのインタビューで「脱北者への言及が禁止されているため、同僚らと脱北外交官に対する話ができない代わりに、たくさん検索をしてみる。単純な興味のレベルを越え、彼らの活動ぶりと生活の様子を最大限詳しく知るために『研究』水準で探してみる」そうだ。

イ・イルギュ氏は「私も北朝鮮にいた時はそれなりに世界をたくさん回ったので、目が開かれた人だと思っていた。だが、韓国に来てみたら本当に田舎者だった。銀行、金融、交通規定は何も知らないし、自動システムも何も知らない」と振り返った。

2019年に脱北が確認されたリュ・ヒョヌ氏(元クウェート駐在北朝鮮大使代理)も、海外でのインターネット使用による思想的な影響を受けると明らかにしたことがある。リュ・ヒョヌ氏はKBSとのインタビューで「天のように信じていた、あの神のようなキムファミリーが『私たちをこのように騙し、食べた』というその裏切り感を覚え、怒りが沸き上がった」と打ち明けた。

イ・イルギュ氏の脱北は、2016年のテ・ヨンホ駐英公使、2019年のチョ・ソンギル駐イタリア大使代理、リュ・ヒョンウ駐クウェート大使代理らに続き、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の執権後、公式に確認された4度目の脱北外交官だ。

公式に確認された事例以外にも非公開の脱北事例があることを勘案すれば、北朝鮮の高官、エリートの脱北は相次いでいるようだ。

イ・イルギュ氏と同時期の昨年11月、フランス駐在の北朝鮮外交官一家も、韓国公館に亡命の意思を明らかにし、現在、米国に滞在しているという。

統一省によると、昨年入国したエリート脱北者の数が、2017年以降最も多い「10人前後」といわれる。また、今年はすでに10人前後のエリートたちが韓国に入国したという。昨年、脱北者数は2017年に6分の1水準(196人)に減る一方、エリート層の離脱は増えている。

これは、北朝鮮が昨年8月以降、新型コロナで閉鎖していた国境再開に拍車をかけているなか、対北朝鮮制裁と新型コロナによる経済難で強化された当局の統制によって、外交官の動揺が大きくなったためと分析される。

北朝鮮は国境封鎖によって貿易収入が減少し、帰国の道が閉ざされた北朝鮮労働者や外交官らに責任感を与え、より多くの利益を創出するよう強く圧迫したという。

だが、国際情勢の変化による対北朝鮮制裁への圧迫のレベルが高まり、金儲けは困難なっている。最近、中国も露朝関係の密着を牽制し、中国にいる北朝鮮の労働者全員に帰国を促したとも伝えられている。

イ・イルギュ氏もインタビューで、外交官の収入が低く、違法な商売が避けられないという点を打ち明けた。「北朝鮮内の一部では外務省の人々を『ネクタイを締めたコッチェビ(乞食)』と呼ぶ。貿易関係者や特殊機関の関係者に比べて、ポケットにお金はない。だが対外活動をするためには高級服にネクタイは必須だから、そんな言葉が回る」

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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