Infoseek 楽天

ピッチャーが投げた5万5026球、判断ミスは21球…韓国プロ野球で導入された「ロボット審判」

KOREA WAVE 2024年7月30日 8時0分

【KOREA WAVE】
KBOが6月から各放送局に提供しているABS 3D資料=TVING、KBOユーチューブキャプチャー(c)KOREA WAVE

世界のトップリーグで初めて今季から「自動投球判定システム」、いわゆる「ロボット審判」を導入した韓国のプロ野球委員会は28日、3月の開幕からの計185試合を調べた結果、5万5026投球のうち判断ミスの発生件数は21件、99.9%の判読率を記録したと明らかにした。

ロボット審判のおかげで判定が正確になり、ストライクゾーンを巡る議論が下火になった。

ABSは、球場に設置されたカメラと軌道追跡システムが投手の投げたボールの軌跡を追って自動的にストライク、ボールを判別するシステムだ。

判別したAIプログラムがホームプレートの後ろに立っている球審に結果を送出。これを球審が無線イヤホンで受け取り、コールする。

3月にソウルで開催された「2024KBO規定-規則変化メディア説明会」(c)NEWSIS

ABSの学習データは各試合を通じて蓄積されている。「斗山ベアーズ」が103試合で最も多く「起亜タイガース」「サムスンライオンズ」が100試合を突破。残り7球団も1チーム当たりの試合数が95回を超えた。

ABSの導入は、ここ数年間、球審の判定に対する選手団、ファンの不信感が募ったことが背景にある。球審ごとに正方形、長方形、楕円形、台形など多様なストライクゾーンがあり、試合ごとにストライクゾーンが変わるという指摘が続いたためだ。

以前からストライク、ボールの判定は選手・監督を問わず敏感な要素だった。判定は球審の強力な権限であり、これに不満を抱いた選手・監督らが激しい反応を示し、たびたび退場させられた。

2022年KBOストライクゾーンメディア説明会で、ストライクゾーンの変化について説明するホ・ウン審判委員長(c)NEWSIS

捕手出身の元プロ野球選手も「試合の途中でストライクゾーンが何度も変わる場合があった。審判が早く退勤しなければならない時は、打者として疑わしい判定がたびたび出てきた」と振り返る。

ABS導入後、野球業界は頭を悩ませていたさまざまな問題が解決され、歓迎する雰囲気だ。

ハンファイーグルスのパク・ヨンジン2軍監督は「投手の投げたボールがゾーンに掛ければ自動的にストライクになるので、投手・捕手間のストレスが少なくなったようだ。優秀な選手やベテランには判定が甘い傾向があったが、そのようなことがなくなり、野球が公正になったと思う」と話した。

KBOは、ABSが判断するストライクゾーンは左右47.18cmに固定されたと説明した。幅43.18cmのホームプレートより、両サイドに2cmずつ伸びた大きさだ。上下の基準は、選手の身長をあらかじめ測った後、膝から脇を基準に選手別にストライクゾーンを指定する。また、6月から各放送局にABS 3Dモデルを提供し、ABS判定に対する理解度を高めている。

SPOTVのイ・デヒョン解説委員は6月、「球審が判定していた時代には、点差が広がった状況では投手に有利となるよう(ストライク)ゾーンが広がる傾向があったが、今年はABS判定で一様にゾーンが維持され、見逃し判定が消えた」と評価した。

一方、長所だけではない。AIとカメラを利用した技術であるだけに、二つのうち一つに問題が生じれば、判定に困難が生じる。4月には球場に現れた虫の群れがカメラを覆い、判定に誤りが生じたこともあった。この問題を解決するため、球場側は殺虫スプレーを備えるなどしている。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News

この記事の関連ニュース