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韓国で深刻化する「法人タクシー」危機…「法定賃金制度」で揺らぐ業界、相次ぐ廃業

KOREA WAVE 2024年8月21日 16時30分

【KOREA WAVE】
(c)news1

「今月の給料は、会社に支払うべき売上金の滞納分を除くと40万ウォン(約4万円)にも満たない」

韓国・釜山に住む60代の法人タクシー運転手は、日々の乗客不足に苦しみながらこう嘆いている。新型コロナウイルスの影響で状況はさらに悪化し、1日中働いても売り上げが伸びず、生活が厳しいと述べた。同じく40代のタクシー運転手も「なんとか耐えているが、法人タクシー業界は崩壊寸前であり、数千人の運転手が職を失うことになるだろう」と懸念を示している。

タクシー会社の経営状況も同様に厳しい。釜山地域にある95の法人タクシー会社の多くが、長引く赤字のため倒産の危機に直面している。特に、2022年には60年の歴史を持つ大手タクシー会社が廃業し、別の会社も経営難に耐えられず廃業した。

法人タクシー運転手の数も急減しており、2019年12月には1万649人いたが、2023年末時点で5178人にまで減少した。4年間で約46%の減少だ。また、稼働していないタクシーの台数も増え、車両稼働率は2019年の74%から2023年には47%に落ち込んだ。稼働していない車両は2019年の1123台から2023年末には3788台へと337%も増加した。

さらに、タクシー賃金制が全国で施行されるのを目前に控え、業界はさらに深刻な危機に直面している。タクシー賃金制は、運転手が週40時間以上働けば最低賃金以上の月給が保証される制度だ。ソウルでは2021年から施行されており、その他の地域でも今月20日の施行となっている。

しかし、運転実績にかかわらず運転手に200万ウォン(約20万円)以上の給与を支払わなければならない状況では、厳しい経済環境の中で会社が持ちこたえることは難しい――業界はこう訴えている。タクシー会社の関係者は、「会社には莫大な負債があるため、たとえ退職金の支払いを済ませて廃業できるとしても、その道は厳しい」と述べ、早急な対策が必要だと訴えている。

現在、国会では「タクシー運送事業の発展に関する法律」の一部改正案が議論されており、賃金制の実施を労使の自主的な判断に委ねる内容が盛り込まれている。この改正案が業界存続のカギとなる。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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