「人格の抹殺に近い暴力と、苛酷な仕打ちに遭った被告が、これに耐えられず、犯行に至った……」
今月5日午後、韓国春川地裁。中学校の同窓生を殺害した罪に問われた少年A被告に、地裁は長期5年と短期3年を言い渡した。A被告は直ちに控訴した。この少年はなぜ、法の裁きを受けることになったのだろうか。
時間を戻して4月13日午後11時40分ごろ。A被告が住んでいる江原道三陟のあるマンションに中学校の同窓生B君とC君が訪ねてきた。
中学3年の時、三陟からの転校生だったA被告は、在学中から終始、何の理由もなく暴行を受けてきた。
この日も同じだった。B君は「家が汚い」として鍋に水を入れ、居間に水をまき、A被告に「拭け」と強要した。
使い捨てカミソリとハサミでA被告の髪の毛を強制的に切り、耳や眉毛に加え、性器まで「ライターの火」で焼いた。
B君はA被告に「服を脱げ」と言った後、自慰行為をさせ、さらに綿棒と碁石などを肛門に入れるよう指示した。やらなければ殴られるため、A被告は仕方なく猟奇的な指示に従った。
こうした行為をC君が携帯電話で撮影した。
酒を飲み、A被告の口に焼酎を無理やり注ぎ込んだりもした。こうしたいじめは3時間以上続いた。
A被告はもう我慢できなくなった。A被告は台所にあった凶器でB君を刺し、殺害した。
このように「校内暴力の被害者」だったA被告は「殺人者」となり、猟奇的な行為を日常的に強いていたB君は「犠牲者」になった。
裁判にかけられたA被告は、故意を否認し、事件当時、相当な量の焼酎を飲むなどして心神喪失・心神微弱だったなどと主張した。
だが、地裁は「A被告は、事件前日、B君らが被告の家に訪問するようになった経緯、いじめにあった経緯などを比較的詳細・具体的に記憶しており、弁別能力や行為統制力を欠如したとは見難い」と見た。
その一方で「被告はB君から事件以前からいじめを受け続け、B君のいじめに対して刑事告訴をするなど問題提起をしてきた。しかしB君のいじめ行為を制止するほどの措置を受けられないまま、むしろB君からさらに激しいいじめにあった経験があり、B君によるいじめを、家族や学校、警察などに知らせることができなかったと見られる」と判断した。
そのうえで「約3時間にわたり被告に人格抹殺に至るほどの暴力と苛酷行為を加え、被告がこれに耐えられず犯行に至ることになったと参酌できる事情が認められる」として、長期5年と短期3年を宣告した。
検察はまた、猟奇的な行為を撮影するなど、いじめに加担し、特殊暴行罪に問われたC君に、懲役9年を求刑した。
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