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「レアアース」中国依存から脱却へ…韓国メーカーが重希土類ゼロ「エコマグネット」開発

KOREA WAVE 2024年10月31日 8時0分

LGイノテックが開発した高性能エコマグネット=LGイノテック(c)KOREA WAVE

【KOREA WAVE】韓国の電子部品メーカー「LGイノテック」は30日、中・重希土類を一切使用せず、世界最高水準の磁力を持つ「高性能エコマグネット」の開発に成功したと発表した。

マグネットはスマートフォンのアクチュエーターや車両モーター、オーディオスピーカーなど、多様な製品に搭載される重要部品だ。

これまでマグネットの主要原料として、レアアースの中・重希土類が使われてきた。これは高温の環境下でも磁力を維持するための成分で、中国など特定国でしか生産されておらず、地政学的リスクによる価格変動や供給の不安定さが課題とされていた。中・重希土類は兵器などの生産にも欠かせないとされている。

さらに、希土類の採掘過程で深刻な環境汚染が引き起こされるため、中・重希土類を使わない製品の開発は、業界が直面する緊急課題だった。

◇中・重希土類を完全代替する合金を業界初開発

LGイノテックは2021年に中・重希土類の使用量をこれまでより60%削減したマグネットを開発している。一方、今回の製品は、テルビウムやジスプロシウムなどの高価な中・重希土類を一切使用していない。

LGイノテックは、韓国材料研究院と協力し、中・重希土類を代替する多元系合金を業界で初めて開発した。この合金を均一に塗布し、加熱して吸収させた製品が「高性能エコマグネット」であり、業界最高水準の13.8キロガウスの磁力を誇る。また、最大180℃の高温の環境下でも耐久性を維持する。

中・重希土類は中国など一部の国が世界の供給を支配しており、価格変動が激しい。例えば、テルビウムは過去4年間で最大331%上昇し、ジスプロシウムも最大189%の価格上昇を記録している。こうした価格変動は、マグネットの生産リスクを増大させる要因となっていた。

しかし、LGイノテックの「高性能エコマグネット」の開発により、特定国への依存が大幅に軽減され、供給網の安定化が図られる。また、中・重希土類を使用しないため、原材料コストも従来の60%まで削減可能になった。

◇環境汚染物質を大幅に削減…ESG重視の顧客に朗報

「高性能エコマグネット」は、環境汚染の最小化を求めるグローバルなユーザーにとっても喜ばしいニュースだ。中・重希土類1kgの採掘には0.5トン以上の二酸化炭素(CO₂)と450kgの有害廃水や放射性物質が発生する。

LGイノテックのマグネットを使用することで、こうした環境負荷を大幅に削減可能だ。例えば、電気自動車に搭載される既存のマグネットを「高性能エコマグネット」に置き換えると、1台あたり約45kgの環境汚染物質を削減できるという。

LGイノテックは、グローバルな自動車メーカーやスマートフォン製造企業向けに積極的なプロモーションを展開し、家電やロボットなどの応用分野を拡大していく。同社のノ・スンウォンCTOは「中・重希土類はもちろん、軽希土類も使用しない『無希土類マグネット』の開発も進めている。今後も革新的な素材や部品をいち早く提供し、差別化された顧客価値を創出し続ける」と語った。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News

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