【KOREA WAVE】2023年時点で韓国の10代青少年がスマートフォンを使用する時間が1日平均161分にのぼり、場合によっては「手のひらの中の世界」であるSNSに1日20時間も費やすことがある。政治の指摘通り、青少年のSNS接続を遮断すべきなのか? それは単純な問題ではない。取材チームは約2カ月間、全国の小学校・高校・治療キャンプで青少年やインフルエンサーなど計95人に会い、SNS依存の実態と解決策を追跡した。
「終わって寂しい。次は何を見ればいいの?」
ソウルに住む16歳のヘリン(仮名)の独り言は、24時間後には消えてしまう。投稿から1日後には自動で削除される「ストーリー」(インスタグラムの一種)にだけ、自分の気持ちを吐露するためだ。ドラマの最終回を惜しむヘリンの指は、深夜にもかかわらずスマートフォンの上で忙しく動いていた。
受験生の姉と共働きの両親はすでに眠りについている。暗い部屋で、迷った末に青い四角の「共有」ボタンを押したヘリンは、静かな画面を見つめていた。人の顔を見つめるのも、会話をするのも苦しいヘリンにとって、SNSは生活を共有できる唯一の窓口だ。「誰かが私のストーリーを見て、話しかけてくれるかな」。投稿した後も、ヘリンはスマートフォンから目を離すことができなかった。
ヘリンがSNSに夢中になったのは2年前から。通常1日18時間ほど、ひどい時には20時間もSNSをしている。中学校に進学してダンス部に加入したヘリンは、理由もわからないままいじめに遭うようになった。その過程で親しい友人とも関係が悪化した。
「一度裏切られると、もう誰も信じられなくなりました。誰かと一緒にいるのが苦痛で、目も合わせられないんです」
しっかりと話していたヘリンの声は、そのころのことを思い出すたびにかすれていった。
辛い状況から抜け出そうと努力したが、何も変わらなかった。周囲からの冷やかしや陰口に対し、明るく、堂々としているふりをしても、心は萎縮していった。他のダンス部の友達のようにスリムになれば人気が出て、いじめも減るだろうか。ヘリンはツイッターや友人を通じてダイエット薬を密かに手に入れて2、3カ月服用した。だが、倒れることが頻繁になり、母親に見つかってやめた。意識を取り戻した時、ヘリンのそばに残っていたのはスマートフォンだけだった。
新型コロナ禍の影響で、約2年間、同じクラスの友達と対面で会うことがなかったヘリンにとって、手のひらサイズのスマートフォン内のSNSの世界はむしろ馴染みのあるものだった。孤独なヘリンにとって、SNSは、近所に住む友達や趣味が合う友達を「おすすめ」してくれる存在でもあった。関心を持ってもらいたかったヘリンは、時間があれば友達に「フォロー」リクエストを送った。こうして気づけば、友達の数が150人を超えることもあった。
SNSが勧めてくれるのは友達だけではなかった。アプリのボタンを押せば、踊るアイドルやドラマのダイジェスト映像が数分おきにあふれ出てきた。俳優やアイドルを見ていると、彼らのメイクや髪型を真似する動画も次々と流れてくる。
「1日に何千件も見ました。一度見ると連続で3~4時間くらい」
ベッドに寝転んでSNSを見ていると、あっという間に朝を迎える。夜遅くまでショート動画を見て、翌日学校で机に伏せて寝る日が増えた。移動中もスマートフォンから目を離せず、オートバイにぶつかって足にギプスをしたこともあった。
(つづく)
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