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「きのこ」で包装材や革製品を生産…韓国・商業化が本格始動

KOREA WAVE 2024年11月18日 9時0分

キノコ菌糸体を活用した革製品=農振庁提供(c)news1

【KOREA WAVE】韓国農村振興庁が、きのこの菌糸体を活用した包装材や革製品の開発に成功し、商業化に向けた取り組みを本格化させている。農村振興庁はこのほど、関連する7件の技術特許を出願し、環境に優しい産業素材の開発を推進している。

きのこは食用となる子実体と、植物の根のように養分を吸収する菌糸体に分かれる。菌糸体は糸のように細い菌糸(細胞)が密な網目構造を形成しており、その高い剛性からさまざまな産業素材に応用できる特性を持つ。海外では2000年代初頭から菌糸体の特性が着目され、大規模な投資を通じて環境に優しい素材を開発、商業化が進められてきた。

農村振興庁は海外企業との技術格差を縮めるため、2021年から研究を開始し、培地と菌糸体を利用した発泡スチロールや動物革の代替素材の製造技術を独自に開発した。今回出願された7件の特許には、菌株の確保、培養、素材製造に関する基盤技術が含まれる。特に、発泡スチロール代替材の商業化を目指し、スタートアップ企業やきのこ農家と協力する「価値成長」という官民連携システムを構築している。

環境に優しい包装材は、きのこの収穫後の培地に養分と水分を供給し、内外部の菌糸体を密に成長させる農村振興庁独自の培養技術で製造される。この包装材は、既存の発泡スチロールに比べて強度が約4倍優れている。革代替材は、木くずの上に綿繊維を置き、そこに菌糸体を成長させた後、菌糸体と綿繊維を同時に収穫して作られる。この技術により、動物革に比べて炭素排出量と水使用量を90%以上削減することが可能だ。

農村振興庁は、開発した菌株と技術を農家や企業に提供し、農家の培養施設を活用して素材を生産するシステムを導入している。この取り組みにより、菌糸体を活用した包装材の生産では原材料費を36.4%削減できる見通しだ。また、新鮮なきのこの販売に加えて、年間約8億ウォン(約8800万円)の追加収益が期待されている。月に2万~3万個の素材を生産することが可能で、環境に優しい素材としての需要が高まることが予測されている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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