【KOREA WAVE】韓国の年間合計特殊出生率が9年ぶりに反転する可能性が高まっている。今年の出生率は過去最低水準だった0.6人台を脱し、0.7人台を維持する見通しだ。
統計庁によると、2024年第3四半期の出生数は6万1288人で、前年同期比4523人(8.0%)増加した。これに伴い、第3四半期の合計特殊出生率は0.76人となり、前年同期より0.05人増加。出生率の四半期ベースでの増加は、2015年第4四半期以来、36四半期ぶりで、その増加幅は2015年第2四半期以来最も大きかった。
合計特殊出生率は、1人の女性が生涯で産むと予想される子どもの数を示す指標であり、今回の反転は注目されている。
背景には、2022年以降、新型コロナ禍の緩和を受けて結婚件数が増加したことがある。昨年の第1四半期の婚姻件数は前年同期比18.9%増の5万3964件を記録しており、通常、結婚から約2年後に出産率へと反映される。
今年に入って2四半期連続で出生数が増加したことで、2024年の合計特殊出生率が0.7人台を維持する可能性が高まっている。統計庁は当初、今年の出生率を0.68人と予測していたが、現時点の傾向では0.72~0.74人程度に上昇すると見られている。昨年の第4四半期が0.65人と低水準だったため、今年の第4四半期にはベース効果が働く可能性も指摘されている。
また、出産の先行指標とされる妊娠・出産バウチャーの申請件数も増加している。国民健康保険公団によると、今年9月までのバウチャー申請件数は22万3461件で、前年同期比11%増加した。さらに、今年の婚姻件数は9月までに16万1771件を記録し、前年同期比12.8%増加。2019年以降で最も高い数値となった。
こうした一時的な反転はあるものの、韓国の出生率は依然として世界最低水準であり、抜本的な対策が求められている。ソウル大学人口政策研究センターのイ・サンリム責任研究員は「0.7人台の反転は一時的で、前年の急激な減少によるベース効果の影響が大きい。出産率が本格的に増加するには、2022年(0.78人)の水準に戻る必要がある」と述べた。
さらに、「結婚や出産が若者にとって魅力的でないという意識が根本的な問題だ」と指摘し、政府が結婚や出産を促進するための政策を展開する重要性を強調した。結婚や出産に対する価値観の変化と、経済的負担の軽減が課題であり、韓国社会がこの問題を克服するにはまだ道のりは長いと見られる。
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