【KOREA WAVE】「手書きのスケッチブックに書かれた注文で、数百万ドル規模の契約が成立するのを目の当たりにしました。21世紀にもこんな非効率な取引があるなんて、衝撃を受けました」
韓国のスタートアップ「バイングスクエア」のチェ・ジョンヒョン代表は、手作業中心だった従来のファッション業界の流通プロセスを振り返り、この驚きが同社設立の原点であったと語った。
従来のファッションブランド流通では、PDFやExcelファイルで取引条件が伝達され、非効率な手作業が多かった。チェ代表はこれを解決するため、AIを活用したブランドホールセールプラットフォーム「バイングスクエア」を立ち上げた。
同社は、ブランドが提供する非定型データを定型化し、商品カタログを自動生成する技術を開発した。ブランドごとの取引規則を予測し、自動で取引条件を生成するアルゴリズムも研究している。これにより、3000以上のデザイナーブランドと韓国内外のリテイラーを直感的なデジタルカタログを通じて繋ぐことが可能となった。
チェ代表は「AIを駆使して手作業が中心だった業務プロセスを大幅に効率化し、ブランドとバイヤーの双方にメリットを提供している」と自信を見せた。
設立4年で、バイングスクエアは177のグローバルサプライヤー、45のブランド本社とのパートナーシップを構築し、200社以上の顧客を持つ。累積取引額は1200億ウォン(約132億円)を超え、さらなる成長のためにシリーズBの資金調達を進めている。
バイングスクエアは韓国ブランドのグローバル市場進出を支援するため、ニューヨーク・ブルックリンに120坪のショールーム「VIBETWLV」を設立した。チェ代表は「ニューヨークでK-ファッションのコレクションを開催し、ファッション界の『アベンジャーズ』を結成する」と述べ、意気込みを語った。
ブルックリンは現在、エルメスやシュプリームなどのブランドが集うホットスポットであり、同地でのショールーム展開は初の試みだ。同社はブランドにショールームの利用とプロモーションを提供し、オンラインとオフラインを融合した「オムニチャネル」を実現する計画だ。
バイングスクエアは、流通プロセス全体(注文、製造、決済、顧客対応、在庫管理、配送)を統合管理できるプラットフォームの構築を進めている。また、四半期ごとのイベントを開催し、韓国ブランドとグローバルバイヤーを繋ぐ橋渡し役を担う。
すでに日本、中国、香港に法人を設立しており、シンガポール、マレーシア、ベトナムにも拠点を拡大する予定だ。ファッション以外にも、美容、スポーツ、時計などのカテゴリーに事業領域を広げる。
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