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高齢者貧困率、OECD1位の韓国…年金改革、さらなる不安を招く恐れ

KOREA WAVE 2024年12月7日 9時0分

寒さが厳しい日に廃品を回収する高齢者(c)news1

【KOREA WAVE】韓国政府が国民年金の財政安定化を目的に「自動調整装置」の導入を進めるなか、高齢者の所得保障をさらに不安定にする恐れがあるとの指摘が出ている。韓国の高齢者貧困率は経済協力開発機構加盟国の中で最も高く、この制度が経済的不安をいっそう深刻化させる可能性があるという分析だ。

韓国保健社会研究院が発表した報告書によると、政府が導入を検討している「年金自動調整装置」は、人口構造や経済状況の変化に応じて、保険料率や年金支給額、受給開始年齢を自動的に調整する仕組みだ。しかし、この装置が導入されると、将来的に年金受給額が減少し、高齢者の経済的不安定を助長する可能性があると指摘されている。

韓国では急速な少子高齢化により、いわゆる「人口崖」の到来が予測されている。これにより、年金制度の負担が増し、年金受給者一人あたりの支給額が減少する可能性が高い。

一方で、近年、高齢者の労働参加率や個人所得は徐々に改善されている。働く高齢者の割合は2011年の34.0%から2023年には39.0%に増加。月平均所得が150万ウォン(約16万500円)以上の高齢者の割合も2017年の17.8%から2023年には56.5%に上昇している。

また、個人所得の実質額は2011年の984万ウォン(約105万円)から2023年には2009万ウォン(約215万円)と2倍以上に増加した。特に、労働所得の割合が16.9%から49.3%に上昇する一方で、家族などからの私的移転所得は39.8%から9.2%に減少し、高齢者の経済的自立度が高まっている。

それでもなお、韓国の高齢者貧困率は依然としてOECD加盟国の中で最も高い水準にある。2023年時点で中位所得の50%未満に該当する66歳以上の高齢者の割合は40.4%で、OECD平均の14.2%を大きく上回る。

また、生計費を補うために働く高齢者の割合も、2011年の79.4%から一時的に減少したものの、2023年には77.9%と再び増加している。

韓国保健社会研究院の研究員は「韓国の高齢者の労働参加率の増加は、自発的な選択ではなく、社会保障制度の限界や高齢者貧困の深刻さに起因している」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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