韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が3日に宣言した「非常戒厳」の際、戒厳軍が中央選挙管理委員会(選管)に突入したことをめぐり、今年4月の総選挙で「不正があった」を主張していた一部の極右系ユーチューバーに対して、内乱罪や内乱扇動罪が適用される可能性が議論されている。
非常戒厳が宣言された3日夜、戒厳軍約300人が中央選挙管理委員会の統合管制センターを含む施設に進入したことが確認されている。これに関連し、当時の国防相、キム・ヨンヒョン(金龍顕)氏は「多くの国民が不正選挙の疑惑を提起しているため、システムや施設を確保し、将来の捜査の判断に備える必要があった」と述べ、ユン大統領の意向に基づくものであったことを説明している。
ユン・ソンニョル氏は大統領就任直後から、特定の政治的立場を持つユーチューバーと接触しているとの疑惑をたびたび指摘されてきた。極右系ユーチューバーの一部は、総選挙の開票に「操作があった」と主張し、選管の捜査を求めるキャンペーンを展開していた。こうした状況のなか、今回の戒厳発動を、極右系ユーチューバーらは「不正選挙の調査を正当化するための戒厳」と解釈しており、これが世論の分断を招いている。
韓国刑法第87条と第88条によると、内乱を目的に扇動・宣伝した者は、3年以上の懲役または禁錮刑に処される。内乱扇動罪の成立には、扇動者が被扇動者に対し内乱行為を決意させ、その実行を促すことが必要とされる。また、最高裁判所の判例では、扇動が実際に内乱に発展しなかった場合でも、内乱の決意を誘発または増幅する危険性が認められれば処罰の対象となる。
法曹関係者の一部では、ユン大統領自身が不適切な戒厳を宣言し、内乱罪の疑いを受けている状況において、大統領に影響を与えたユーチューバーらも同様に法的責任を問われる可能性があると指摘する声がある。
仮に、ユン大統領が「非常戒厳」宣言の前に、ユーチューバーらと選管捜査に関連して議論したという証拠が見つかれば、これらのユーチューバーに対して内乱扇動罪だけでなく、内乱罪が適用される可能性もあるという。
法律事務所「コーラス」のリュ・ジェユル弁護士は「ユーチューバーらの発言のみでは内乱扇動罪と認定するのは難しい」としながらも「ユン大統領やユーチューバーの間で直接的な連絡、金銭的支援など因果関係を示す具体的な証拠が得られれば、内乱扇動罪が成立する可能性がある」とみる。
またソン・ヨンヒョン弁護士は「ユーチューバーらが自身の発言によって戒厳発動に影響を与える可能性を認識していた場合、内乱扇動罪が適用される。戒厳に関与した当事者とのやり取りが具体的に確認されれば、内乱扇動を超えた共犯としても責任を問える」との見解を示している。
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