【KOREA WAVE】韓国国会がユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾訴追案を可決し、政局は早期大統領選挙の可能性が現実味を帯びる状況となった。憲法裁判所での審判結果が大きな鍵を握る中、弾劾の決定時期が選挙実施の時期を左右するとみられる。
弾劾案が可決された翌15日、憲法裁判所は国会から送付された弾劾訴追議決書を受理した。審理は全9人の裁判官により進められるが、現在3人が欠員しており、6人の体制で進められる。
憲法裁判所法によると、訴追案の受理日から180日以内に最終決定を下さなければならない。このため、最終判断は最長でも2024年6月11日までに下される見通しだ。
過去の事例では、2004年のノ・ムヒョン(盧武鉉)大統領(当時)に対する弾劾案は受理後63日で棄却、2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾案は91日で認容された。今回も速やかに審判が進めば、早ければ来年4月にも結果が出る可能性がある。
審理のスピードは、裁判官の任期満了が大きな要因となる。現職のムン・ヒョンベ裁判官とイ・ミソン裁判官の任期が来年4月18日に終了するため、それまでに審理を終える可能性が高いとの見方が広がっている。この場合、大統領選挙は「バラが咲く5月」いわゆる「バラ大統領選」となる可能性がある。
一方、審理が最大180日間の期限いっぱいまでかかれば、8月に選挙が実施される可能性も排除できない。
早期選挙が実現した場合、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表が大統領選に出馬できるかが焦点となる。イ代表はすでに選挙法違反で1審において有罪判決(懲役1年、執行猶予2年)を受けており、最終判決の時期が選挙戦略に影響を及ぼす。
一方で、ユン大統領側が弾劾裁判を意図的に長引かせ、イ代表の出馬機会を減らそうとする戦略を取る可能性も指摘されている。ユン大統領は裁判で自らの無実を積極的に主張するとみられており、パク・クネ氏が消極的な姿勢を取った過去の弾劾裁判とは異なる展開が予想される。
早期選挙が実現した場合、韓国社会における政党間の力学が大きく変わることが予想される。与党、野党ともに内部の戦略や指導部の再編が急がれる一方、国民の信頼を回復するための具体的な政策ビジョンが求められる。
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